マンションでの騒音トラブルを予防するための3つのポイント

マンションは、一戸建て住居と比べると、音の感じ方が違う人々が一緒に暮らしているという特徴があります。その音もさまざまな種類があり、洗濯機や冷蔵庫、共用のエレベーターなどの設備機械音、足音やシャワー、トイレの水流などの生活音、外部からは近隣の音や自然現象の音も含まれます。そのためマンション内では騒音のトラブルは起きやすい傾向にあり、音に対して正しく理解する必要があります。

目次
1.一般的なマンションの構造
2.上から聞こえる足音は本当に真上か?
3.音の伝わり方について
4.すごく静かな環境が本当に理想なのか?
5.騒音トラブル予防のポイントは?
5-1.発生源のチェック
5-2.対策の理解
5-3.相談先の選定
6.最後に

一般的なマンションの構造

構造体は鉄筋コンクリートで、一般的なマンションの壁の厚さは15cm程度、床の厚さは20~30cm程度です。ただし、窓や換気口、内装の材質などはマンションや部屋ごとに多種多様なので、音の伝わる環境はさまざまです。

上から聞こえる足音は本当に真上か?

実は、足音などの音は固体音(固体伝搬音ともいいます)といって、振動として建物内に伝わり天井や壁などを経由して音を発生させる性質をもっており、発生させている音が受手側の耳に直接届くわけではありません。

最上階の住戸の天井方向から、斜め下住戸の工事音が聞こえた事例もあります。そのため、「聞こえた方向=発生原因」と安易に決めつけてしまわないことが必要となります。

音の伝わり方について

音の伝わり方は、「空気音」と「固体音」の2つに分類されます。

空気音は、音源から出て空気中を伝わり耳に届く音を指します。一方、固体音は振動源から出た振動が建物の構造体などを伝わり、その振動が部屋の壁などを振動させて壁や天井がスピーカーの役目になって生じる音を指します。つまり、空気音の発生源は音源固体音の発生源は振動源になります。具体的には、人の声、自動車の音、飛行機の音は空気音として扱われ、足音や物を落とした音、ぶつけたり叩く音は固体音として扱われます。一般的に空気音は壁やパネルなどで遮断しやすいですが、固体音は構造体を振動させ広い範囲に振動が伝わってしまうため、振動しにくくする対処が必要になり対策は難しくなります。

すごく静かな環境が本当に理想なのか?

近年のマンションでは、省エネ対策として、高気密、高断熱の窓サッシ、ガラス面は二重構造や三重構造などが使われるようになりました。このため遮音性能も高まり、屋外から屋内に伝わる騒音が小さくなり、室内が異常なまでに静かになってきています。室内が静かになると、快適な生活空間のように思われますが、今まで外部からの定常的な音でかき消されていた小さな音が、気になりやすくなるという弊害も生じています。快適な音環境目線から考えると、外部からの音もそれなりに存在し、静かすぎないほどほどの状態が理想なのかもしれません。

騒音トラブル予防のポイントは?

マンション内のご近所付き合いもあるからトラブルは避けたいけど、具体的にどのように対処すればいいかわからないという方も多いと思います。その場合の参考として、次の事項を確認し、状況を整理する必要があります。

発生源のチェック

情報収集…どんな音が聞こえるか?どのあたりで聞こえるか?聞こえるのはいつか?

情報整理…発生源は何だろう?発生源はどこだろう?音はどう伝わっている?

対策の理解

発生源のチェックでわかった発生源の特徴に応じてその音に見合った対策を正しく理解する

相談先の選定

自分で対応が難しい場合は、第三者の客観的かつ専門的なアドバイスを受けられる相談先を選定する

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最後に

一般家庭から発生する生活音やマンション内の騒音は法律による規制の対象ではありません。基本的に生活音の問題は、当事者同士の話し合いによる解決になります。個人でできる対策としては、部屋の窓を二重構造や三重構造にする、扉の本体と枠を気密性の高いものにする、換気口にウレタン製の防音グッズを用いる、床に厚手のカーペットや絨毯を敷くなどである程度は防音仕様にすることができます。それでも生活音はゼロにできないため、受手側が一方的に要求するのではなく、ある程度の音は許容することも大切になります。ひとつのマンションに居住する者同士、お互いがマンションの音環境を正しく理解することが騒音トラブルの解決の糸口になります。

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参考文献
・【一般社団法人 日本建築学会】トラブルになる前に・・・マンション暮らしの騒音問題
・【公益社団法人 日本騒音制御工学会】Dr.Noiseの「読む」音の本 環境騒音のはなし

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