産業廃棄物とは?定義・種類と適正処理に欠かせない分析基準を解説

経済活動や日常生活のなかで日々排出される膨大なごみ。これらは法律によって厳格に分類されており、特に企業が排出する「産業廃棄物」には重い処理責任が課せられています。

本記事では、産業廃棄物の定義や20品目の分類に加え、排出事業者の責任を果たすために不可欠な「分析」「判定基準」の重要性を解説します。

目次
1.産業廃棄物の基本定義と一般廃棄物との違い
1-1.産業廃棄物が指す基本的な定義
1-2.事業系一般廃棄物との区分方法
2.法令で定められた産業廃棄物20品目の種類と具体例
2-1.あらゆる業種が対象となる12種類
2-2.排出業種が限定される7種類
2-3.特別管理産業廃棄物の基準と例
3.産業廃棄物の適正な処分に不可欠な「分析」と「判定基準」
3-1.特別管理産業廃棄物の特定と基準値の確認
3-2.最終処分・再生利用に向けた溶出試験の必要性
4.排出事業者の「管理責任」を裏付ける分析データの重要性
4-1.廃棄物情報提供(WDS)と分析データの関連性
4-2.定期的な分析によるリスクマネジメント
5.まとめ

産業廃棄物の基本定義と一般廃棄物との違い

廃棄物は、法律によって「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に大別されます。

【廃棄物の種類と定義】

廃棄物の分類 定義・概要 具体的な種類・例
産業廃棄物 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定める20種類を指す。 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など。
特別管理産業廃棄物 産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性など人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのあるものを指す。 燃焼性の廃油、腐食性の廃酸、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物(PCB廃棄物、廃石綿)など。
一般廃棄物 産業廃棄物以外の廃棄物を指し、大きく「家庭系」と「事業系」に分けられます。 一般家庭から出るゴミや、事業所から出る産業廃棄物以外のゴミを指します。
事業系一般廃棄物
事務所や店舗などから出る、産業廃棄物20品目に該当しない廃棄物。
オフィスのコピー用紙(紙くず)、茶ガラ、飲食店から出る残飯(生ごみ)など。
家庭系一般廃棄物
一般家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物。
家庭から出る生ごみ、プラスチック製容器包装、粗大ごみなど。
特別管理一般廃棄物 一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの。 廃家電製品に含まれるPCB使用部品、水銀又はその化合物が使用されている製品、ごみ処理場からのばいじん等、感染性一般廃棄物。

参考:愛知県環境局|産業廃棄物を適正に処理しましょう

産業廃棄物が指す基本的な定義

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められたものを指します。製造業や建設業に限らず、オフィスや商店、学校など幅広い事業活動が対象です。自ら利用・売却できない不要物が該当し、量にかかわらず適正処理の義務があり、ガス状のものは含まれません。

事業系一般廃棄物との区分方法

産業廃棄物の20品目に該当しないものは、事業所から出る場合でも「事業系一般廃棄物」に分類されます。たとえば、オフィスのコピー用紙や飲食店の残飯、茶ガラなどが該当します。一般廃棄物は市町村が処理責任を負いますが、産業廃棄物は排出事業者が自ら処理責任を負う点が大きな違いです。

法令で定められた産業廃棄物20品目の種類と具体例

廃棄物処理法では、産業廃棄物を以下の20品目と定めています。

【産業廃棄物20品目の一覧表】

種類 具体的な例
1. 燃え殻 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃掃出物、その他の焼却残さ
2. 汚泥 排水処理後の泥状物、活性汚泥、ビルピット汚泥、建設汚泥など
3. 廃油 潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチなど
4. 廃酸 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等すべての酸性廃液
5. 廃アルカリ 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液
6. 廃プラスチック類 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず、廃タイヤ、ビニールくずなど
7. ゴムくず 天然ゴムの切断・裁断くず
8. 金属くず 研磨くず、切削くず、空き缶、金属スクラップなど
9. ガラス・コンクリート・陶磁器くず ガラスくず、レンガくず、陶磁器くず、廃石膏ボードなど
10. 鉱さい 鋳物廃砂、高炉・電気炉等の溶解炉かす、ボタ、スラグなど
11. がれき類 工作物の新築・改築・除去で発生したコンクリート破片、アスファルトくずなど
12. ばいじん 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、DXN特別措置法に定める特定施設又は産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集じん施設で集められたもの
13. 紙くず (業種限定) 建設業、パルプ・紙製造業、出版・印刷業、製本業等から生じるもの
14. 木くず (業種限定) 建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業、貨物用パレット (全業種) など
15. 繊維くず (業種限定) 建設業、繊維工業 (衣服製造業を除く) から生じる天然繊維くずなど
16. 動植物性残さ (業種限定) 食料品・医薬品・香料製造業で原料として使用した動植物の固形状不要物
17. 動物系固形不要物 (業種限定) と畜場の獣畜・食鳥に係る固形状の不要物
18. 動物のふん尿 (業種限定) 畜産農業から生じた動物のふん尿
19. 動物の死体 (業種限定) 畜産農業から生じた動物の死体
20. 1〜19の処分物 1〜19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、1〜19に該当しないもの

参考:愛知県環境局|産業廃棄物を適正に処理しましょう

品目によっては「あらゆる業種で産廃となるもの」と「特定の業種のみ限定されるもの」の2パターンが存在します。

あらゆる業種が対象となる12種類

「産業廃棄物20品目の一覧表」のうち、「1.燃え殻」から「12.ばいじん」までの12種類は、業種を問わず事業活動に伴って排出されれば産業廃棄物に該当します。たとえば、オフィスでもOA機器のプラスチックは廃プラスチック類、スチール製什器は金属くずとして扱われます。業種に関係なく、これらは産業廃棄物として適切な処理ルールの遵守が必要です。

排出業種が限定される7種類

一方で、紙くずや動物の死体など、13.から19.までの7品目は、排出事業者の業種によって産業廃棄物か一般廃棄物かが決まります。同じ木くずでも、建設工事由来なら産業廃棄物、事務所の庭木剪定で出たものは一般廃棄物となります。ただし木製パレットは業種を問わず産業廃棄物に該当するため、法令に基づく正しい区分判断が必要です。

特別管理産業廃棄物の基準と例

爆発性・毒性・感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で規定している廃棄物は、「特別管理産業廃棄物」として厳格に管理されます。たとえば、引火性の高い廃油や強酸・強アルカリ、使用済み注射針などが該当します。これらは通常より厳しい保管・運搬・処理基準が課され、管理責任者の選任や詳細な分析が必要です。

産業廃棄物の適正な処分に不可欠な「分析」と「判定基準」

適正な処理先の選定と法的基準の遵守には、廃棄物の成分や性質を正確に把握するための事前の分析が不可欠です。

排出事業者は、自らが出した廃棄物の性質を理解し、有害物質を含んでいないかを確認する「排出事業者責任」を負っています。不適切な自己判断による委託は、適正処理が行われないリスクがあるため注意が必要です。

特別管理産業廃棄物の特定と基準値の確認

廃棄物が「特別管理産業廃棄物」に該当するかどうかは、引火点やpH値、有害物質の濃度などの化学分析によって判断されます。とくに水銀・カドミウム・鉛などの有害物質は、基準値を下回っているかを成分分析で確認する必要があります。こうした分析により性質を明確にすることで、事故防止と適切な処理ルートの選択が可能になります。

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最終処分・再生利用に向けた溶出試験の必要性

産業廃棄物を埋立処分する際は、有害物質が地下水へ溶出しないかを確認するため、「溶出試験」による濃度測定が必要です。リサイクルする場合も、受け入れ基準を満たしていることを証明するための分析が欠かせません。こうした客観的データによる管理は、不法投棄リスクの回避や環境負荷低減といった企業の社会的責任の遂行にもつながります。

排出事業者の「管理責任」を裏付ける分析データの重要性

外部業者に委託した場合でも、排出事業者は最終処分まで責任を負う必要があります。そのため、処理内容の適正性を客観的に示すための分析データは、適切な委託が行われたことを裏付ける重要な証拠となります。

廃棄物情報提供(WDS)と分析データの関連性

排出事業者は、処理委託時にWDS(廃棄物データシート)などで廃棄物の性状や有害物質の有無を正確に伝える必要があります。その裏付けとなるのが、含有量を示す客観的な分析データです。分析会社の試験証明書は信頼性の高い根拠であり、中間処理場や最終処分場での予期せぬ事故を防止し、最適な処理工程を選択できます。

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定期的な分析によるリスクマネジメント

廃棄物の性質は、原材料や製造工程の変化、設備の老朽化などによって変動する可能性があります。そのため、継続的なリスクマネジメントとして定期的な分析が重要です。正確な現状把握は適正処理の担保にとどまらず、環境コンプライアンス強化という長期的な企業価値の向上にもつながります。

まとめ

産業廃棄物の管理は、法令で定められた20品目の分類を正確に理解し、一般廃棄物との違いを明確にすることから始まります。しかし、単に品目を分けるだけでなく、その廃棄物の有害性や成分を「分析」によって数値化し、客観的なエビデンスを保持することこそが、排出事業者が負う「排出事業者責任」を果たすための確かな根拠となります。

また、産業廃棄物の適正処理には、法令知識だけでなく、正確な分析データに基づく判断が欠かせません。愛研では、産業廃棄物に含まれる有害物質の分析や溶出試験、各種環境測定を行っています。

正確な分析データを把握し、適切な廃棄物管理を行うことは、法的リスクの低減や環境保全にもつながります。

産業廃棄物の分析・調査・測定については、ぜひ愛研までお気軽にご相談ください

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