2025.02.18
コラム

呼吸用保護具は正しく装着できていますか?フィットテストの必要性

金属アーク溶接等作業中に発生する溶接ヒュームによる健康被害を防ぐために、その作業に従事する労働者は適切な呼吸用保護具を装着しなければなりません。また、屋内作業場にて継続して金属アーク溶接等作業に従事する労働者は、令和5年4月1日より呼吸用保護具のフィットテストを1年に1度実施することが義務となりました。

目次
1.フィットテストとは
2.フィットテスト対象者とは
3.フィットテスト測定方法とは
4.さいごに

フィットテストとは

フィットテストとは、着用しているマスクのフィルター性能が良くても顔に隙間無くフィットしていなければ本来の性能が機能されません。このことからフィルター性能と顔との密着度合いを確認するために評価を行うテストをフィットテストと言います。

本内容では、マスクフィッティングテスターと呼ばれる機器を使用し、JIS T 8150:2021にも規定されている大気じんを用いる定量的フィットテストについて説明します。

フィットテストは上記計測器が正確に計測出来るだけの大気じん濃度がある場所で、対象者が規定された動作を行うときに、面体の外側の大気じん濃度及び面体の内側の大気じん濃度を計測器で計測し、合否判定に必要な数値を算出します。次項にて規定された動作を紹介します。

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フィットテスト対象者とは

フィットテスト対象者は金属アーク溶接等作業を行っている労働者全員が対象となります。事業者はフィットテストの記録を3年間保存することが規定されています(厚生労働省告示第286号による)。

フィットテスト測定方法とは

フィットテストの動作を表1に示します。全ての動作を終了することでフィットテストは終了となります。

表1

順序 動作(時間) 動作の内容
1 通常の呼吸
(1分以上)
立った状態で普通に呼吸する。
声は出さない。
2 深呼吸
(1分以上)
立った状態でゆっくり深呼吸する。
過呼吸には注意する。
3 頭を左右に回す
(1分以上)
立った状態でゆっくりと頭を左右に動かす。
① 正面を向いた状態で息を吐きながら頭を左向きへ
② 左向きで静止して息を吸う
③ 息を吐きながら頭を左向きから右向きへ
④ 右向きで静止して息を吸う
⑤ 息を吐きながら頭を右向きから左向きへ
※以上を繰り返す。
4 頭を上下に動かす
(1分以上)
立った状態でゆっくりと頭を上下に動かす。
① 正面の向きから息を吐きながら頭を上向きへ
② 上向きで静止して息を吸う
③ 息を吐きながら頭を上向きから下向きへ
④ 下向きで静止して息を吸う
⑤ 息を吐きながら頭を下向きから上向きへ
※以上を繰り返す。
5 発声
(1分以上)
フィットテスト実施者がはっきり聞き取れるようにゆっくりと声を出す。例.100から逆に数える。準備したテキストを読む等
6 前屈
(1分以上)
立った状態で手をつま先に触れるように腰を曲げてから立った状態に戻る。
① 正面を向いて立つ
② 手をつま先の方向に向けて腰を曲げていく
③ 腰を曲げた状態で静止する
④ 曲げた腰を伸ばしていく
⑤ 正面を向いて立った状態に戻る
※以上を繰り返す。
7 通常の呼吸
(1分以上)
立った状態で普通に呼吸する。
声は出さない。

さいごに

今回マスクのフィットテストについて簡単にご紹介させていただきました。フィットテストを実施する際は前章でも述べた通り大気じん濃度がある場所にて実施します。よって、人体から発生する粒子(タバコ又は電子タバコ)も測定の妨げになります。注意する事は多々ありますが、測定のみでは7~8分程度で終了します。筆者も実際に測定しましたが意外とあっという間に終了しました。

このような測定が新しく義務化されるということをお伝え出来ればと考え、ご紹介させていただきました。
適切な保護具の使用が、安全な作業環境の第一歩です。フィットテストの実施についてお困りの際は、ぜひ愛研へご相談ください!

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