2023.08.31
コラム

作業環境測定の管理区分評価が悪い場合の対応方法

事業者は有害な業務を行う屋内作業場やその他の作業場で政令に定めるものについて厚生労働省令で定めるところにより必要な作業環境測定を行うとあります(労働安全衛生法第65条第1項一部抜粋)。作業環境測定結果について、もしも管理区分が思わしくなかった場合はどのような対応が必要なのか簡単にご紹介します。

目次
1.作業環境測定とは
2.管理区分とは
3.罰則について
4.最後に

作業環境測定とは

作業環境測定とは、様々な機器、設備、塗料、薬品を使用する作業場所において作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)のことを言います(労働安全衛生法第2条一部抜粋)。少し細かく言いますと、作業環境中にはガス・蒸気・粉じん・騒音・放射線等の有害物質が存在し、これらが労働者の健康に悪影響を及ぼすことがあります。事業者はこれらの有害物質を除去するか一定の値以下に管理することが必要です。この実態を把握することが作業環境測定を実施すると言います。

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管理区分とは

作業環境測定では、第1管理区分・第2管理区分・第3管理区分の3つの区分に分けられます。それぞれの区分で評価の判断や求められる対応がありますので以下の表に示します。

管理区分 評価 対応
第1管理区分 現在の作業環境管理が適切と判断する。 現在の作業環境管理を維持する。
第2管理区分 現在の作業環境管理に改善の余地があると判断する。  施設、設備、作業工程、作業方法等を見直し、作業環境を改善するため必要な措置を講じるよう努める。
第3管理区分 現在の作業環境管理が適切でないと判断する。 直ちに施設、設備、作業工程、作業方法等を見直し、作業環境を改善するために必要な措置を講じ、当該場所の管理区分が第一管理区分又は第二管理区分となるように努める。必要な措置を講じた際には効果の検証のため有害物質の濃度測定を行う必要がある。その他にも労働者に適切な呼吸用保護具を装着させる、必要な健康診断を実施させる等あります。

 

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罰則について

作業環境測定の結果が悪い、連続して第3管理区分になっているからと言ってすぐさま罰則が科せられるというわけではありません。しかし労働安全衛生法第65条第1項では、「有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場について、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録する」とあります。よって安全配慮義務違反※という形で罰則が科せられることはあります。罰則としては多額の損害賠償請求を科せられる、または懲役刑が科せられることもあります。

※労働契約法第5条において使用者(会社)は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとするとあります。よって、安全配慮義務違反とは労働者を危険から保護するよう配慮する義務を負っているため、その義務に違反することを言います。

最後に

管理区分が悪くなった際に何も措置を講じずにそのまま放置しておくことは労働者の健康に大きく影響を及ぼすことがあります。また、作業環境測定は決められた期間内に実施することが義務であり、前章で述べたように罰則が科せられることもあります。事業者や労働者すべての方々において、一度ご自身が現在どのような環境状況で作業しているかを把握することが安全に過ごす第一歩になります。

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