2023.07.27
コラム

作業環境測定ってどのくらいの時間がかかるの?

事業者は有害な業務を行う屋内作業場やその他の作業場で政令に定めるものについて厚生労働省令で定めるところにより必要な作業環境測定を行うとあります(労働安全衛生法第65条第1項一部抜粋)。そこで今回はなぜ作業環境測定を行わなければならないのかどの程度測定時間を要するものかご紹介します。

目次
1.作業環境測定とは何?
2.なぜ作業環境測定を実施するの?
3.作業環境測定に掛かる時間は?
4.最後に

作業環境測定とは何?

作業環境測定とは、様々な機器、設備、塗料、薬品を使用する作業場所において作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)のことを言います(労働安全衛生法第2条一部抜粋)。少し細かく言いますと、作業環境中にはガス・蒸気・粉じん・騒音・放射線等の有害物質が存在し、これらが労働者の健康に悪影響を及ぼすことがあります。事業者はこれらの有害物質を除去するか一定の値以下に管理することが必要です。この実態を把握することが「作業環境測定を実施する」と言います。

なぜ作業環境測定を実施するの?

作業環境測定とは、労働者の健康障害を予防するために作業環境中の有害物質の存在を評価し作業環境が良好であるか改善が必要になるかを判断するものです。

作業環境測定が必要な物質を取り扱う場合は6ヵ月以内毎に1回作業環境測定を実施する必要があります。(対象項目によっては1年以内毎に1回、2ヵ月以内毎に1回の場合あり)適切に実施していない場合は労働者に健康被害が生じる、労働基準局の立入監査で警告を受ける等罰則まで受けることになる可能性もあります。

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作業環境測定に掛かる時間は?

A測定と呼ばれる単位作業場所全体の有害物質の平均的な分布を知るための測定は1測定点10分間の連続した時間を要します(使用する測定機器によっては、A測定の時間が10分に満たない場合もあります)。このA測定は1つの作業場所において5測定点以上必要です。またB測定と呼ばれる単位作業場所の有害物の発生源に近接した作業位置における最高濃度を知るための測定も10分間の連続した時間を要します。これらの対象となる作業及び付随作業を含め作業環境測定の測定時間は、測定開始から終了まで原則1時間以上掛けることが必要になります。

原則は1時間以上測定することになりますが、作業環境測定対象作業が短時間しか実施されない場合は測定を実施する者の判断により測定時間を短縮することも可能とされています。

有機溶剤を取り扱う塗装作業を例としまして、

塗料の調合作業に2分間、塗装作業に5分間、乾燥作業に3分間計10分間作業の作業環境測定を実施するとします。1測定点10分間掛かりますので60分間掛けていた場合、作業が無い時間帯に測定をすることになってしまいます。よって、この場合ですと20分から30分程度での測定を実施することが多いです。
必ずしも作業環境測定に1時間以上掛ける必要はありません。

最後に

「1時間以上も作業することないけど作業環境測定をしなければならないのか」、「年に数回しか作業することないけど作業環境測定が必要なのか」等の疑問点は良く耳にします。これらの回答として、短時間作業でも測定時間を短縮して作業環境測定は実施しないといけません。また年に数回しか作業が無くても対象作業として定期的に行う場合は作業環境測定を実施しないといけません。

本コラムでは、作業環境測定の必要性と測定時間についてお伝えしました。深い内容までお伝えできませんでしたが作業環境測定を実施しないことによるデメリットが多いことから、事業者の方々におかれまして労働者が従事する作業場の作業環境を把握し、疑問点や問題点が出てきた場合においてその都度解消していくことが自身を、また会社を守る1歩になるかもしれません。

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