2023.05.18
コラム

作業環境測定の『測定対象項目』や『管理区分』について解説します!

作業環境測定とは労働安全衛生法(昭和47年)で作業環境測定の定義が決められており、当該作業場の環境実態を把握するためデザイン・サンプリング・分析を行い、当該作業場の作業環境の平均的な状況把握、また、健康障害等を防止するため、必要な際に行うことが決められています。私どもがよく測定を行う対象項目について簡素化して紹介します。

目次
1.概要
1-1.測定対象項目について
1-2.測定対象エリア(単位作業場)について(デザイン・サンプリング)
1-3.分析について
1-4.評価方法について
2.測定対象項目について(抜粋)
2-1.粉じん
2-2.特定化学物質
2-3.有機溶剤
3.管理区分について
4.最後に

概要

測定対象項目について

当該作業場で使用する原材料及び設備、日常の作業工程から作業環境測定対象物質に指定されている有害物質を使用することで作業環境測定を行う対象物質が決定されます。

測定対象エリア(単位作業場所)について(デザイン・サンプリング)

A測定 当該作業場で有害物質濃度の平均的な分布を把握するための測定です。有害物質の分布状況及び労働者の行動範囲を確認し、当該作業場から単位作業場所を選定し、測定点数を決定します。有害物の分布状況とは、発生源がどこにあるか?局所排気装置の設置はあるか?作業場の気流はどのように流れているか?を確認します。労働者の行動範囲とは、労働者が何名いるか確認し、その労働者がどの範囲でどのように行動するかを確認します。
B測定 A測定のみでは労働者が危険にさらされる恐れのある高濃度有害物質を見落とす可能性があるため、発生源に近接する場所において行う測定です。労働者の有害物質濃度が最も高くなる作業位置や作業時間帯を確認します。決定した単位作業場所内でサンプリングを行います。

分析について

測定対象項目について分析を行います。分析方法は相対濃度指示方法、吸光光度分析方法、原子吸光分析方法、ガスクロマトグラフ分析方法などがあります。

評価方法について

単位作業場所で作業環境測定士によりデザイン・サンプリング・分析を実施した結果から有害物質濃度を算出し、その有害物質濃度を用いて標準偏差を加味した統計処理を行い評価値を求め、その評価値と作業環境測定対象物質で定められている管理濃度を比較して、第一管理区分(適切)、第二管理区分(改善の余地あり)、第三管理区分(早急な改善措置の実施が必要)のいずれかに評価されます。

測定対象項目について(抜粋)

粉じん(粉じん障害防止規則:昭和54年労働省令第18号)

常時特定粉じん作業を行う屋内作業場について6月以内毎に1回定期的に空気中の粉じん濃度の環境測定を行わなくてはいけません。その測定記録は7年間の保存が必要です。

特定化学物質(特定化学物質障害予防規則:昭和47年労働省令第39号)

第一類物質および第二類物質を製造し、取り扱う屋内作業場について6月以内毎に1回定期的に空気中の特定化学物質の環境測定を行わなくてはいけません。その測定記録は3年間の保存(一部の物質については30年間)が必要です。

有機溶剤(有機溶剤中毒予防規則:昭和47年労働省令第36号)

第一種および第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務を行う屋内作業場について6月以内毎に1回定期的に有機溶剤濃度の環境測定を行わなくてはいけません。その測定記録は3年間の保存が必要です。

管理区分について

・第一管理区分
作業環境管理が適切な作業場。今後、継続的維持管理に努めて頂く作業場。

・第二管理区分
作業環境管理に改善の余地がある作業場。作業場、作業工程の点検及び改善措置の努力義務がある作業場。

・第三管理区分
作業環境管理が適切でなく直ちに改善措置の実施が必要な作業場。直ちに作業場、作業工程を点検し改善措置を行ったのち、その効果確認のため作業環境測定を実施し評価が必要となる作業場。

最後に

第一管理区分である作業場につきましては今後も環境を維持していただき、第二管理区分または第三管理区分の作業場については設備の点検又は見直し、作業工程(原材料など)の見直し、労働者への安全管理(保護具着用など)、排気設備がないところにつきましては排気設備(局所排気装置など)の設置を考慮し、労働者が安全に働けるような職場を目指し良好な作業環境のもとでより良い仕事が出来るよう作業場管理を行って頂きたいと思います。

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