空はどうして青いの?科学の視点から解説します!

「どうして空は青いの?夕方は赤くなるの?」こどもに聞かれる定番質問のひとつですが、みなさんはどう答えていますか?今回は身近な大気光学現象である空の色について解説します。

目次
1.光とは
2.空の色、海の色
2-1.空が青いのはなぜ?
2-2.空が赤くなるのはなぜ?
2-3.海が青いのはなぜ?
3.まとめ

光とは

まずは「光」について説明します。一般的に光とは「可視光線」のことを指します。可視光線とは電磁波であり、その波長は380~760nmで人間の目に見える波長です。可視光線の波長よりも短くなると紫外線、長くなると赤外線と呼び、まとめて「不可視光線」と言われています(図1)。通常の光は様々な波長が混ざっており、白色に見えます。

図1:波長による電磁波の分類

光はその波長から大きく3色、青・緑・赤に分けられます。青と緑の光が混ざると水色に見えます。赤と青ではピンク色、赤と緑で黄色に見えます。可視光線の波長は図1のように青は短く、緑、赤の順に長くなります。

人間や生物が色を認識するのは、眼の中の網膜の視細胞である錐体細胞にあるオプシンタンパク質が機能しているからです。例えば人間の眼の錐体細胞には3種類あり、それぞれ青、緑、赤の光を認識しています。これら3種類の錐体細胞によってすべての色を表現することができます。「光の3原色」とは、人間が3種類の色を認識する仕組みに基づいた概念なのです。人間以外の場合では、夜行性哺乳類だと2種類の錐体細胞しかなく、鳥類は4種類の錐体細胞を持っています。持っている錐体細胞が違う生物は、人間とは全く異なる色彩の世界が見えています。

 

空の色、海の色

空が青いのはなぜ?

大気中には酸素や窒素などの分子も含め小さな微粒子が浮遊しています。太陽から届く光は、その微粒子によって散乱されます。赤い光は波長が長いので散乱されにくいのですが、波長の短い青い光は、波長の長い光より強く散乱されます。その結果、空が青く見えるようになります(図2)。

図2:太陽が真上の時の光路

空が赤くなるのはなぜ?

同様に朝日や夕日で空が赤くなる理由も光の散乱で説明できます。青い光は波長が短いため散乱されやすく、赤い光は波長が長いため散乱されにくいと話しました。朝や夕方の太陽は水平線付近にいますが、その時太陽からやってくる光が通る大気圏の距離は図2の時よりも長くなります(図3)。青い光は散乱されて弱くなり地表にはあまり届かず、赤い光は散乱されにくいので地表まで到達します。その結果、水平線近くの太陽は赤っぽい色になります。

図3:夕方の太陽からの光路

海が青いのはなぜ?

ところで海も青色とよく言われ、地域によってはエメラルドグリーンやコバルトブルーと言われたりしていますが、はたしてそれは海水の色でしょうか?どこの海水をコップで汲んでみても、よほど汚染されていない限り透明に見えるはずです。

海が青く見えるのも光が関係していますが、空の色とは理屈が少し違います。海水のほとんどの成分は水分子ですが、水分子は赤い光を吸収する特徴があります。ほんの数センチで赤い光は吸収されはじめ、数メートルでかなり弱くなり、水色っぽくなります。波長の短い光は吸収されにくいので、海の中で散乱し、水上に届いた光が海の色となります。プールや浅い海で良い水質のところでは、キレイな水色に見えます(図4)。

図4:高知県柏島のビーチ

また、植物プランクトンや藻が増えると青の光も吸収されてしまうので緑の光だけが残り、緑っぽい色に見えてしまいます。これらの海の色は、太陽からの光が海面や海中で反射した色なのです。

もうひとつの要因として、実は空の色も関係しています。空からの色も海で反射されいるので、空が明るい青になると海も明るい青になり、空が赤くなれば海は赤を吸収するので暗い色になります。

まとめ

空の色はどうして青いのか、なぜ夕日は赤いのか、海が青いのはなぜか、すべて太陽からの光がどのような現象で影響しているかで説明できます。いつもより箸休め回となったと思いますが、環境や科学の知識になれたなら幸いです。

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