プラスチックから繊維まで!身近な『高分子製品』の驚くべき特性
高分子はゴム・プラスチック・塗料など私たちの生活のいたるところ使われています。ここでは高分子の特徴や性質について紹介したいと思います。
目次
1.高分子とは
1-1.高分子の定義
1-2.そもそも分子とは
1-3.高分子の構造
2.高分子の合成反応
2-1.付加重合
2-2.縮合重合
3.身近にある高分子
3-1.プラスチック
3-2.繊維
4.最後に
高分子とは
高分子の定義
高分子(macromolecule, polymer)とは、分子量が1万以上であり、非常に大きな分子の総称でポリマーとも呼ばれています。
分子量が1万という値に意味があるのではなく、低分子にはみられない性質が表れるのがこの辺りになります。
そもそも分子とは
物質は原子というとても小さな粒子が集まってできています。原子と原子がくっついたものを分子と呼びます。例えば酸素(O2)は酸素原子(O)が2つくっついたもので、水(H2O)は酸素原子(O)1個に水素原子(H)が2個くっついてできています。
高分子の構造
高分子はでたらめに原子がくっついているわけではなく、ある単位が規則的に繰り返された構造をしています。この繰り返す単位のことをモノマーまたは単量体といいます。ポリエチレンはエチレンと呼ばれる分子が繰り返してできている構造です。
高分子の合成反応
付加重合
付加反応による重合を付加重合と呼び、2つの反応が起こっています。付加反応とは炭素(C)同士の結合が二重結合(C=C)や三重結合(C≡C)をもつ分子が原子と結合して単結合(C-C)になる反応です。重合とは構造が同じ分子同士が次々に反応して大きくなることです。
縮合重合
縮合重合とは分子同士が結合するときに水など簡単な分子が取れて分子が大きくなっていく反応です。
身近にある高分子
プラスチック
生活の中にはプラスチックでできているものがたくさんあります。一言でプラスチックといっても様々な種類があります。例えばペットボトルはポリエチレンテレフタレートが使用されており、ポリエチレンテレフタレート(PET:Poly Ethylene Terephthalate)ボトルの略です。
ポリエチレンテレフタレートの特徴として①透明であること②ガスが通り抜けにくいことがあげられ炭酸飲料用のボトルに適しています。
繊維
洋服のタグを見てみるとナイロン・ポリエスエル・木綿など表記されていると思います。これらもすべて高分子の仲間です。
木綿・羊毛・絹など天然の素材からできたものを天然繊維といい、ナイロン・ポリエステルなど人工的につくられたものを化学繊維といいます。
タイツやストッキングのパッケージにデニールという表記をみたことはありませんか?デニールとは糸の太さを表しています。長さ9000mの重さが1gの繊維の太さが1デニールとされています。タイツでよく見かける80デニールとは長さ9000mの重さが80gであると表しています。数字が大きくなるほど糸が重くなり、タイツに使用される糸のデニールが大きくなるほど生地が分厚くより暖かく感じます。
最後に
近年日本でもごみ袋の有料化やプラスチックに代わる紙ストローの提供など、プラスチック削減に関するニュースが流れています。プラスチックは便利な反面、海洋汚染をはじめとする環境問題の原因にもなっています。ポイ捨てなどによって海に流れたプラスチックは紫外線や波によって細かく砕けてマイクロプラスチックになります。マイクロプラスチックは海の中で有害物質が付着するとされており、これをエサと間違えて魚が食べ、その魚を人が食べることによって健康への影響が心配されています。
私たちの生活のなかにはプラスチック製品がたくさんあります。環境を守るために3R(リデュース・リユース・リサイクル)を進めて一人一人ができる小さなことからはじめていきましょう。
合わせて読みたいコラム
・物質の状態(固体・液体・気体)とその状態変化について解説!
・赤い水の正体は!?顕微鏡観察事例を紹介!
・『自然環境保全法』を対象地域とともに分かりやすく解説します!
2006年12月より愛研の社内向けに発行している、「愛研技術通信」をPDFファイルとして公開しています。愛研についてもっと知って頂ける情報も満載です。ぜひそちらもご覧ください!
愛研技術通信はこちらから
参考資料
・【PETボトルリサイクル推進協議会】PETボトルの安全性
・【環境省】プラスチックを取り巻く国内外の状況<参考資料集>
・【環境省】プラスチック資源循環戦略
・【政府広報オンライン】海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!~「プラスチック・スマート」キャンペーン~