騒音で使われる用語と波形パターンごとの評価方法について

騒音に関する測定方法は、環境騒音の表示・測定方法(JIS Z 8731:2019)の規定に従い評価されます。ここでは、騒音に関してよく使われる用語の説明と騒音の波形パターンごとの評価方法について紹介したいと思います。

目次
1.定義
1-1.基準時間帯
1-2.観測時間
1-3.総合騒音
1-4.特定騒音
1-5.残留騒音
1-6.背景騒音
2.騒音の波形パターンについて
2-1.定常騒音
2-2.変動騒音
2-3.間欠騒音
2-4.衝撃騒音
3.特定工場などにおいて発生する騒音や特定建設作業に伴って発生する騒音の測定方法について
3-1.変動が少ない、または変動しない音
3-2.規則的に変動する音(ピーク値一定)
3-3.ピーク値が不規則に変動する音
3-4.不規則かつ大幅に変動する音
4.最後に

定義

基準時間帯

一つの等価騒音レベルの値を代表値として適用する時間帯です。基準帯は、対象とする地域の居住者の生活態様を考慮して決定されます。昼間、夜間などに分けられます。

観測時間

騒音レベルを測定する際の対象とする時間帯になります。この際、騒音の状態が一定とみなせる時間を選びます。このうち、実際に騒音を測定する時間を実測時間といいます。

総合騒音

ある場所における時刻の総合的な騒音をいいます。

特定騒音

総合騒音の中で、音響的に明確に識別できる騒音をいいます。聴感で確認できるので、騒音源が特定できる場合が多いです。

残留騒音

総合騒音から全ての特定騒音を除いた残りの騒音になります。

背景騒音

残留騒音とは異なり、ある一つの特定騒音(測定対象とする設備音や車両音など)に着目し、それ以外の全ての騒音をいいます。昔からの呼び名で暗騒音ともいわれます。

引用:日本規格協会発行 JIS Z 8731:2019 環境騒音の表示・測定方法

騒音の波形パターンについて

定常騒音

レベルが小さく、ほぼ一定とみなせる騒音をいいます。

変動騒音

レベルが不規則かつ連続的にかなりの範囲にわたって変化する騒音をいいます。

間欠騒音

間欠的に発生し、1回の継続時間が数秒以上の騒音をいいます。

衝撃騒音

継続時間が極めて短い騒音をいいます。衝撃騒音は、発生ごとに個々に分離できる分離衝撃騒音とレベルがほぼ一定で極めて短い間隔で連続的に発生する準定常衝撃騒音とに分けられることがあります。
引用:日本規格協会発行 JIS Z 8731:2019 環境騒音の表示・測定方法

特定工場などにおいて発生する騒音や特定建設作業に伴って発生する騒音の測定方法について

環境省告示の「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」と「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準」では、騒音の基準値や測定方法が示されています。
測定方法としては、計量法第71条の条件に合格した騒音計を使用することとし、周波数特性にはA特性を、動特性は速い特性(FAST)を用いることとされています。騒音の大きさの決定は、以下のとおりとされています。

変動が少ない、または変動しない音

騒音計の指示値が変動せず、又は変動が少ない場合は、その指示値を読み取ります。室外機などの定常騒音を対象とした測定でよく用いられます。

規則的に変動する音(ピーク値一定)

騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し、その指示値の最大値がおおむね一定の場合は、その変化ごとの指示値の最大値の平均値とします。プレス機械などの間欠騒音を対象とした測定でよく用いられます。

ピーク値が不規則に変動する音

騒音計の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、測定値の90パーセントレンジの上端の数値とします。特定工場内の設備からの発生音が一定でなかったり、特定建設の作業発生音が一定でない場合の変動騒音を対象とした測定でよく用いられます。

不規則かつ大幅に変動する音

騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し、その指示値が最大値が一定でない場合は、その変動ごとの指示値の最大値の90パーセントレンジの上端の数値とします。特定建設作業の矢板打ち作業などの衝撃騒音を対象とした測定でよく用いられます。

最後に

今回は騒音に関する定義と、騒音の波形パターンを中心に紹介しました。測定した騒音レベルの中には、工場や建設作業から発生する音、車や電車など日常生活から発生する音、鳥や虫など自然環境から発生する音などさまざまな音が含まれています。これらを識別して正しい評価を行うためには、その現場で聴感を記録し、対象となる特定騒音と対象外の背景騒音に区分けする必要があり、測定者の技量が問われる部分になります。

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