川から工業用水、工場排水からまた川へ
河川から汲み上げられた水が工場で使用されて処理してから、また河川に戻る。循環する水の流れを紹介させていただきます。
工業用水とは
工業用水とは川やダムから汲み上げられた水を工場などで使用される水の中で人に対して使用されない目的で供給される雑用水のことをいいます。
河川から工場へ
河川水の処理
①汲み上げた水の処理は最初に浮いているゴミや落葉が取り除かれます (最初沈殿処理) 。
②次に凝集剤等を添加します(凝集処理)。凝集剤添加工程は水質により省かれることがあります。
③水を静止させ沈んだ砂、スラッジなどを取り除きます(沈殿処理)。ゴミや砂、スラッジなどを取り除いた水を中和します。
④水質検査で基準を満たしているか確認します。愛知県の工業用水の水質検査基準については、こちらからご確認ください。
⑤配水タンクやため池に貯水され各事業所に供給されます。
工業用水の用途
事業所に供給された工業用水は製品製造の工程水や冷却水、製品洗浄水、トイレ洗浄水などとして多種にわたり利用されます。
工業用水から工場排水へ
事業所などで使用された工業用水は工場での使用用途に合わせ、様々な工程を経て排水処理を行い水質検査を行ったのち工場排水として排出します。
排水処理の流れ(例)
原水槽→pH調整槽→凝集槽→沈殿槽→pH調整槽→最終放流槽(監視槽)
また、最終放流槽では排水基準を満たしているか水質検査を実施します。工場排水の水質基準については、こちらからご確認ください。処理後の水質が基準を満たしているのを確認後、河川又は終末処理場(下水処理場)に放流します。また、終末処理場(下水処理場)に放流した水はさらに処理を加えられて河川に放流されます。こうして事業場で使用し排水処理された工業用水は河川に戻ります。また河川より汲み上げ工業用水として利用します。このようにして水が循環されます。
河川・ダム→工業用水→工場利用→工場排水→排水処理→河川・終末処理場→工業用水(水資源の循環)
最後に
水資源利用の一部分を紹介させていただきました。水は人類にとって大事な資源の一つです。川から海へ流れ雲になって山で雨になってまた川に戻ります。人が生活のために使用する水もこのサイクルから借りているものであるのだと思います。返す時は借りた時よりきれいにする努力は必要なのではないかと思います。
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