2021.12.09
コラム

顕微鏡の種類や仕組みの基礎

顕微鏡について、皆さんはどの程度ご存知でしょうか。様々な分野で活躍している顕微鏡。今回は、顕微鏡の種類や仕組みについて、その基礎を解説していこうと思います。

目次
1.顕微鏡とは
2.顕微鏡の基本
3.光学顕微鏡の構造
4.光学顕微鏡の分解能
5.電子顕微鏡の解説
6.まとめ

顕微鏡とは

何らかの物質を観察しようとした場合、それが微小であればあるほど、肉眼での観察には限界があります。顕微鏡とは、光学的または電子的な方法等により、対象物を目で見える大きさの像にする装置のことです。一般的に顕微鏡というと、光学顕微鏡のことを表します。光を利用したものは光学顕微鏡、電子を利用したものは電子顕微鏡と言います。その他、微小な探針で試料をなぞって、形状・性質を観察することができる走査型プローブ顕微鏡があり、その具体的な方法により数多くの種類があります。人間の肉眼では0.1mm程度までしか見ることができませんが、光学顕微鏡を使えば1mm~0.2μmまで見ることができ、さらに電子顕微鏡なら0.2nmほどの大きさまで見ることができるようになります。何をどの程度細かく観察したいのか、その目的によって用いる顕微鏡の種類や方法が変わります。

顕微鏡の基本

顕微鏡で対象物の観察を行う時、主に3つの要素、倍率・分解能・コントラストにより見え方が変わります。倍率は観察するのにちょうど良い大きさへ拡大する必要があり、倍率が高ければいいといわけではありません。単純に倍率を高くしても、細部を観察できるような像を得るには、倍率以外の要素が必要となります。分解能とは、細部をどれだけ精密に映し出せるかに関わってきます。分解能が低いとぼやけて見えてしまいます。倍率に合った分解能を得て、初めて細部を観察できる像が得られます。コントラストは明度や彩度に関わってくる要素で、はっきりとした像を映し出すのに必要となります。コントラストが高いと、明暗の差が出て凹凸が見えるようになったり色の違いがわかるようになります。顕微鏡には数多くの種類がありますが、そのいずれもこの3つの要因を調整することで、鮮明な像を映し出して観察できるようにしています。

光学顕微鏡の構造

光学顕微鏡は、標本に近い側の対物レンズ、眼に近い側の接眼レンズ、光源となるランプ、光路となる鏡筒の4構成となっています。そこに用途に応じてその他の構成を持ちます。照明関係(ランプハウス、視野絞り、コンデンサ等)、標本を載せるステージ、ピントを合わせる微動ハンドル等があります。観察対象によって、顕微鏡の構造やパーツなど構成要素が変わり、レンズの種類も違ってきます。また、標本の下準備もそれぞれ対応した方法を行う必要があります。

光学顕微鏡の分解能

前述した通り、光学顕微鏡はを用いた顕微鏡です。一般的に人間が見ることができる可視光線の波長は400nm~700nmと言われています。「1.顕微鏡とは」にて光学顕微鏡では1mm~0.2μmまで見ることができると話しました。この最小分解能を計算してみましょう。
「ホプキンスの分解能」では、2点を識別できる最小距離をδ、光の波長をλ、物体と対物レンズの間の媒質の屈折率をn、物体から対物レンズに入る外側の角度(開口角)をθとすると、「δ=kλ/nsinθ」と表記されます。係数のkは通常0.5、最も眼の感度が高くなる緑色の波長550nm、液浸オイルの屈折率1.515、最大角度は72°となっています。これを計算すると、「δ=0.5×550nm/1.515 sin72°≒ 190nm」となりました。光学顕微鏡は光を使う以上、この数値が事実上の最小分解能と言われています。分解能は拡大倍率とは無関係なので、倍率をどれだけあげようとも分解能以上の微細な像は映し出すことができず、分解能を超えた拡大をすることを無効倍率と言います。例えるなら、撮影した写真を拡大しても、ある程度の時点でぼやけてきて識別できなくなるのと同じことと言えます。

電子顕微鏡の解説

電子顕微鏡は、光ではなく電子線を用いて像を得る顕微鏡です。電子線は非常に波長の短い波なので、光学顕微鏡よりずっと高い倍率での観察が可能です。光学顕微鏡との最大の違いは分解能の違いとさえ言えます。例えば透過型電子顕微鏡なら、加速電圧600kVの時の電子線の波長は約0.002nmです。この短い波長により数nm程度の大きさまで観察が可能となります。電子顕微鏡は大きく分けて2種類、透過型電子顕微鏡(TEM)走査型電子顕微鏡(SEM)があります。TEMは電子線を観察対象に当て、それを透過してきた電子を拡大して観察しています。対象の構造や成分により、電子線の透過具合が異なるので、透過してきた電子の密度が変わり、それを像としています。電子線を透過させるので、試料を薄くしたり塗る必要があります。SEMは電子線を観察対象に当て、そこから反射してきた電子から得られる像を観察しています。対象に電子線を当てる位置をずらしてスキャンしながら像を得ています。対象の表面形状や凹凸を観察するのに優れています。電子顕微鏡は高性能であるものの、数k~数百kVの高電圧が必要で、安定した電子線照射のために顕微鏡内部を真空にしなければなりません。そのため、高電圧発生装置・真空ポンプ・冷却装置など、装置が大掛かりになってしまい金額面でも大変高価な顕微鏡です。

 
SEMのイラスト TEMのイラスト

まとめ

顕微鏡について、基本構造や種類とその違いについて解説しました。目に見えない小さなものを観察できる顕微鏡ですが、何でも見られるわけではなく、観察したい目的に合った顕微鏡を使う必要があるとわかって頂けたと思います。

愛研の調査・測定についてはこちら
お問い合わせはこちら

合わせて読みたいコラム
石綿の定性分析方法2種類(JIS A 1421-1と-2)は何が違う?


2006年12月より愛研の社内向けに発行している、「愛研技術通信」をPDFファイルとして公開しています。愛研についてもっと知って頂ける情報も満載です。ぜひそちらもご覧ください!
愛研技術通信はこちらから

 

 

ALL