2021.08.05
コラム
亜鉛めっきの不良調査事例について
亜鉛メッキ製品の表面に直径1~5mmの黒点が発生し、原因調査の依頼がありました。
不良原因は「アブレーション」と呼ばれている比較的稀にしか起こらない事例でした。
調査の経緯
亜鉛メッキ製品の表面に直径1~5mmの黒点が発生し、依頼者は異物の付着又はメッキ不良を疑っていました。
写真:調査した亜鉛メッキ製品 黒丸で囲った部分を調査
調査方法
蛍光X線分析法
黒く変色した部分を蛍光X線分析装置で元素分析を行いました。同時に電子顕微鏡で表面の観察を行いました。
調査結果
蛍光X線分析装置による元素定性試験結果では亜鉛が主成分として検出されました。その他に酸素、炭素が検出されました。電子顕微鏡観察では、表面が荒れている様子が観察されました。
以上の結果から、メッキ表面が傷つき酸化し黒く着色した「アブレーション」と結論し
ました。
図:電子顕微鏡写真(左)と蛍光X線分析結果(酸素及び炭素は定量精度が悪いので、定量結果に含めていません)
まとめ
亜鉛メッキ製品は、輸送途中での振動や衝撃などで製品同士が擦れ合うことがあります。この際、擦れ合った表面のごく浅い部分に傷がつきます。傷ついた部分が酸化し黒く着色する現象を「アブレーション」と言います。
一般的に「アブレーション」の黒点は、表面が酸化皮膜で覆われた表面の浅いキズであり、亜鉛めっき層にはとほんど変化がないことから、本来の耐食性を有していると言われています。
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