室内空気測定(シックハウス測定)のよくある質問にお答えします!

今回は室内空気測定(シックハウス測定)に関して、よくいただくご質問にお答えします。
目次
1. シックハウス測定を行うタイミングについて
2. アクティブ法とパッシブ法の違いについて
3. パッシブ法で8時間測定を選択した場合の時間設定について
4. 最後に
シックハウス測定を行うタイミングは?
測定を行うタイミングは、準拠する法律によって変わります。
建築物環境衛生管理基準(ビル管理法)の場合
新築、増築、大規模な改修を行い、使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回測定することと定められています。対象となるのはホルムアルデヒドのみです。
測定結果が管理基準を超過した場合は、外気導入量を増加させるなど、室内空気の改善に努める必要があります。さらに翌年の測定期間中に1回、再測定を実施することが必要です。
住宅性能評価の場合
新築住宅では、工事の全工程が終了してから引き渡しの前に行います。塗料や接着剤などの有機溶剤が室内に残っていると測定値に異常をきたす場合があるので、必ずすべての工程を終了し室内の清掃を終えた後に測定を行なってください。居住住宅では特に指定はありません。建築基準法では、ホルムアルデヒドとクロルピリホスが対象となります。
保育所における室内化学物質対策実施基準の場合
対象となるのはホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレンの6物質で、事業開始前に1回測定を行うこと、また事業開始後に改修工事や什器の入れ替えを行った場合にも測定を行うことと定められています。
学校環境衛生基準の場合
対象となるのはホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレンの6物質で、それぞれ測定のタイミングが異なります。
ホルムアルデヒドとトルエンについては、教室などの温度が高い時期(地域の特性を考慮)に毎学年1回、もしくは新築、増築、大規模な改修を行い、使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回測定することと定められています。キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレンについては、その使用が疑われる場合に毎学年1回測定を行います。
ただし、それぞれの物質について測定結果が基準値の1/2以下だった場合には、教室などの環境に変化がない限り、次回からの測定を省略することができます。
アクティブ法とパッシブ法の違いってなに?
アクティブ法とは
吸引ポンプを用いて一定量の室内空気をサンプラーに採取する方法です。一日の中で最も化学物質が飛散しやすい14時~15時の間に測定することで、室内化学物質濃度の最大値の評価をすることができます。
パッシブ法とは
測定室内にサンプラーを24時間放置しその後回収するという方法です。一日の平均濃度を評価することができます。
また、測定方法が違うのになぜ基準値が一緒なのかという質問もありました。元々はアクティブ法が正規の測定方法でしたが、パッシブ法も同等の信頼性のある測定方法の一つとして認められたため、どちらの測定法を選んでも同じ基準値を参照できます。
パッシブ法で8時間測定を選択した場合は何時に測定すればいいの?
パッシブ法の測定時間は原則24時間ですが、工期などの兼ね合いにより24時間測定の実施が難しい場合には、測定時間を8時間にすることができます。
その場合、アクティブ法と同様に化学物質が飛散しやすい14時~15時が測定時間に入るようにしなければなりません。
夜間に8時間測定ができないかお問い合わせいただくことがありますが、夜間は日中に比べ気温が低く化学物質が飛散しにくく、化学物質濃度が低めに検出して適切な評価にならないため、8時間測定は日中の実施をお願いします。
最後に
今回はシックハウス測定についてよくいただくご質問の一部に回答させていただきました。このほかのご質問については別の機会に回答させていただきます。
シックハウス測定以外についてもご不明な点がありましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください。お待ちしております。
合わせて読みたいコラム
・「シックハウス症候群」の原因と対策
・大気汚染に係る環境基準を知っていますか?
2006年12月より愛研の社内向けに発行している、「愛研技術通信」をPDFファイルとして公開しています。愛研についてもっと知って頂ける情報も満載です。ぜひそちらもご覧ください!
愛研技術通信はこちらから
参考
・【厚生労働省】建築物環境衛生管理基準について
・【文部科学省】学校環境衛生管理マニュアル 「学校環境衛生基準」の理論と実践[平成30年度改訂版]
・【文部科学省】学校環境衛生基準(平成30年文部科学省告示第60号)溶け込み版
・【東京都福祉局】保育所における室内化学物質対策実施基準
・【日本VOC測定協会】アクティブ法とパッシブ法の違いは
・【日本環境保健機構】室内空気測定についてよくある質問 – 室内空気質測定分析(シックハウス測定)
・【内藤環境管理株式会社】公共施設のシックハウス物質の測定方法について