2024.01.18
コラム

室内環境でのアレルギー対策~微生物汚染~

現在、アレルギーに罹患している方は少なからずいると思います。花粉やダニが原因という方もいれば真菌(カビや酵母等)が原因という方もいると思います。そのアレルギーの原因は様々ですが2009年にWHOのヨーロッパ事務局の報告※1により、真菌が健康へのリスクを高めることも指摘されています。本項目では室内環境中の細菌、真菌について簡潔に紹介したいと思います。

目次
1.細菌とは
2.真菌とは
3.室内における真菌(カビ)
3-1.クラドスポリウム クラドスポリオイデス
3-2.ペニシリウム グラブラム
3-3.アスペルギルス レストリクタス
4.最後に

細菌とは

細菌とは核膜を持たない原核生物のことをいいます。『原核生物』、次章にお話しする『真核生物』と言っても理解しづらいと思います。要は細菌とは0.5~5μm程度の大きさでありバクテリアとも呼ばれるものです。主な種類として大腸菌ブドウ球菌レジオネラ属菌などがあります。また、主な感染症として感染性胃腸炎、結核、中耳炎、外耳炎などがあります。これらの病原菌は、免疫機能が低下していた場合に体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら人の細胞に侵入したり毒素を出して細胞を傷害していきます。

真菌とは

真菌とは核膜を持つ真核生物のことをいいます。真菌を一言で言うとカビのことです。キノコや発酵食品に使われる酵母も真菌に含まれます。真菌は自然界のどこにでも存在しています。増殖するのは高温多湿の環境下であり雨期は特に埃等が湿気を含むためカビが繁殖しやすくなります。主な種類として白癬菌、アスペルギルスなどがあります。また主な感染症として白癬症(水虫)、アスペルギルス症(喘息、肺炎、副鼻腔炎)などがあります。これらの病原性を示す真菌は、人の細胞に定着して菌糸が成長と枝分かれによって発育していきます。

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室内における真菌(カビ)

室内(身の回り)には数多くのカビが存在し、健康を脅かすものも複数存在します。有害性がないカビも存在しますが今回は比較的身の回りにおけるカビを以下にいくつか紹介していきます。

クラドスポリウム クラドスポリオイデス

俗に『クロカビ』と呼ばれ、結露がたまりやすい場所等室内にも多くの場所で発生します。室内のエアコンに繁殖することで喘息等の気管支疾患の原因になる可能性もあります。アルコールや熱に弱い性質を持つため比較的に除菌がしやすいです。

ペニシリウム グラブラム

俗に『アオカビ』と呼ばれ、乾燥した環境中に多く発生し、常に空気中に浮遊しています。このカビにおいては毒性や人体への有害性は認められていませんが、アオカビが生えていれば毒性のあるアカカビも生えている可能性があるため、注意が必要です。ちなみに『アカカビ』と呼ばれるものは、パン等食品に生えやすくエアコンのフィルターにも生えやすいと言われています。

アスペルギルス レストリクタス

湿度が高い条件下で胞子が発芽するカビになります。畳、押し入れ、絨毯等によく見られ、乾燥した場所においても発生することもありますのでこまめな清掃が必要です。

室内におけるカビを発育させないためには、清潔にすること及び除湿することが効果的です。窓を開けて換気を行い、室内の湿気を外部に出すことが有効です。冬場では結露を防ぐ効果もあります。雨天時の多湿な環境には除湿器を稼働させることも有効になります。

最後に

室内空気中に存在する微生物を検査する方法もあります。その方法は、落下細菌測定法浮遊細菌測定法があります。落下細菌測定法は,寒天平板培地を測定場所に設置し、一定の時間開放することで落下した微生物を捕集計測する方法です。浮遊細菌測定法は、エアサンプラーを用いて一定量の空気を吸引し、空気中に存在する微生物を捕集測定します。

弊社ではこれらの測定方法による業務の実績がございます。是非お問い合わせください。
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最後になりますが、室内には多くのカビが存在しています。室内で過ごしていてアレルギー反応が出る場合はカビの可能性も一概には捨てきれません。今回ご紹介した内容はほんの一部ですが自身の健康を守るためにも興味を持っても良いかもしれません。

※1 WHO guideline for indoor air quality – Dampness and mould

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