「アスベスト事前調査」の手順とポイントを解説します!

令和5年10月1日から、事前調査を行う者は建築物石綿含有建材調査者の資格が必須となりました。工事に関わる方の多くが資格をすでに取得、または取得に向けて講習の受講を行っているかと存じます。今回は事前調査の手順について解説します。

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目次
1.事前調査の流れ
2.書面調査
3.目視調査(現地調査)
4.分析調査
5.まとめ

事前調査の流れ

図1. 事前調査の流れ

初めに、事前調査の大まかな流れについて解説します。

まずは該当する建築物の設計図書等から書面調査を行います。次に書面調査の結果をもとにして、現地にて目視調査を行います。それぞれの調査の結果、石綿を含有した建材と石綿なしの建材を整理します。書面・目視の調査では石綿の有無が判明せず、石綿の存在が疑われる建材については必要に応じて分析調査を行います。分析結果が出て石綿含有の有無が判明したら、書面・目視の調査に分析結果を反映させて報告書の完成となります。

また書面調査により、着工日が2006年9月1日以降であることが確認できた場合、その建築物の建材は原則として石綿含有なしと判断できます。これは法律による石綿含有建材の使用禁止がこの時期から施行されているためです。ただし一部の製品はポジティブリストの対象となり猶予期間が与えられたので注意が必要です。

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書面調査

書面調査とは、建築物を建設する際に使用された設計図書等から、石綿が含有している可能性のある建材を目視調査の前に特定し、情報を整理する作業です。設計図・竣工図だけでなく、改修図も該当します。また、発注者へヒアリングでの確認も重要です。特に改修や補修などは書面がないケースも多いため、書面のみで全てを把握するのは困難です。石綿の規制がされていない時期の書面は手書きでされているものも多く、建材名称についても正式名ではなく略称や俗称で記されていることがあり、注意が必要です。

この書面調査の結果をベースにして目視調査を行うので、現地での調査が行いやすいように情報を整理して、石綿含有の疑いがある建材のリストアップをしておきます。書面調査を行いたくても設計図書等が一切残ってないケースもあります。そのような場合は書面調査ができないので、そのまま次の目視調査へ進みます。

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目視調査(現地調査)

目視調査では、建築物の現場へ赴いて実際にどうなっているかを調査します。事前に準備した書面調査の情報と実際の現場の状態を確認し、書面通りになっているか、施工が違っているところはないかを調べて記録を取ります。図面どおりにあるはずの建材がなかったり、あるいは記載のない建材があったり、一部分だけ施工の仕方が違っていたりと、様々な事例と遭遇します。石綿含有建材の種類や使用例を把握し、その建築物に使われている場所はないか見逃しのないように調査を行います。目視調査では建築物の内外を隅々まで見て回ることになるので、脚立や懐中電灯、各種ドライバー、カメラなどを準備して対応します。

書面調査と目視調査の結果、石綿含有の疑いがある建材を洗い出し、得られた建材情報(商品名や型番号、不燃番号など)から石綿の有無が明確になれば、分析調査は不要です。石綿含有建材データベースや各メーカーHP等で公開されています。なおデータベース等に記載のない建材について石綿なしと判断することはできません。不明なものは分析調査を行うかみなし判定をする必要があります。

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分析調査

建材の石綿含有の有無が判明しなかった場合、必要に応じて石綿定性分析を行います。ちなみに、定性分析を行わず石綿含有建材としてみなして処理してもよいことになっています。注意点として、みなし判定することにしても事前調査の報告や届け出が不要になるわけではありません。

石綿定性分析の結果が出て各建材の石綿含有の有無が判明したら、書面調査・目視調査の内容に分析結果の内容を反映させて報告書を作ります。

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まとめ

今回はよくお問い合わせいただく、石綿の事前調査の流れについて解説しました。この事前調査は2021年4月に施行され、続けて石綿事前調査結果報告システム(Gビズ)は2022年4月に、有資格者による事前調査の実施の義務化は2023年10月に施行されたばかりで、まだ年月の浅い業務になります。詳細な部分までは紹介しきれませんでしたが、本記事でお役に立てたら幸いです。

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