2023.04.20
コラム

水に関する法律の要点解説!『水道法』の目的と基準を理解する

普段の生活で何気なく使っている「水」は、日常生活に欠かせないとても重要な資源です。私たちが水道の水を安心して利用するために、「水道法」という法律の下で適正にかつ厳しく管理され、運用されています。今回は、「水道法」について少しお話ししたいと思います。

目次
1.概要
1-1.目的
1-2.責務
1-3.用語について
2.水道水質基準
2-1.水質基準項目について
2-2.水質基準値の設定について
3.水道水質検査について
4.まとめ

概要

水道法は1957年(昭和32年)に施行された法律で、目的や責務、水質や施設に関する基準、水道事業に関する基準など、国内に水道を普及させるための様々な取り決めがされています。ここではその一部をご紹介します。

目的

水道法の目的は、「水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによって、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」こととされています。難しい表現がされていますが、言い換えると「安全安心な水を豊富に低価格で供給するため、水道施設の整備及び適正管理など基盤を強化して、国民の生活をより良くする」ことになります。

責務

ここでは、水道が「国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源」であることを踏まえて、国民が水道を安心して利用するための国・地方公共団体の役割、国民についても水道を適正に利用するための役割が示されています。また、国や地方自治体に加えて水道を供給する事業者(水道事業者等)に対しても、水道事業の基盤強化に関する施策の策定、技術的及び財政的な支援、また、相互間の連携推進など、水道事業を適正かつ合理的に運営するためのそれぞれの役割が示されています。

用語について

ここでは、水道法でよく使われる用語についてご紹介します。

① 水道とは

導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいいます。ただし、臨時に施設されたものを除きます。

② 水道事業とは

一般需要に応じて水道により水を供給する事業をいい、給水人口が5000人を超える水道により水を供給する「水道事業」と、給水人口が5000以下である水道により水を供給する「簡易水道事業」に区別します。ただし、給水人口が100人以下である水道によるものを除きます。

③ 水道用水供給事業とは

水道により水道事業者に対してその用水を供給する事業をいいます。ただし、水道事業者又は専用水道の設置者が他の水道事業者に分水する場合を除きます。

④ 専用水道とは

寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道、その他水道事業の用に供する水道以外の水道で、次の各号のいずれかに該当するものをいいます。

(1)100人を超える者にその居住に必要な水を供給するもの
(2)その水道施設の一日最大給水量が政令で定める基準(20㎥)を超えるもの
ただし、他の水道から供給を受ける水のみを水源とし、かつ、その水道施設のうち地中又は地表に施設されている部分の規模が次の基準以下の場合を除きます。
(1)口径25mm以上の導管の全長 1500m以下
(2)水槽の有効容量の合計 100㎥以下

⑤ 簡易専用水道とは

「水道事業の用に供する水道」や「専用水道」以外の水道で、水道事業の水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいいます。供給する施設の規模として、水槽の有効容積の合計は10㎥超え100㎥以下となります。

水道水質基準

水質基準項目について

水道法第4条では水質基準に関する要件を示しており、次の通りとなります。

① 病原生物に汚染され、又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物もしくは物質を含むものでないこと。
② シアン、水銀その他の有毒物質を含まないこと。
③ 銅、鉄、ふっ素、フェノールその他の物質をその許容量を超えて含まないこと。
④ 異常な酸性又はアルカリ性を呈しないこと。
⑤ 異常な臭味がないこと。ただし、消毒による臭味を除く。
⑥ 外観は、ほとんど無色透明であること。

これらの要件をもとに、具体的な項目を「水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)」により定めています。選定基準としては、重金属、化学物質については浄水から評価値の10%を超えて検出される項目や毒性の高い物質については検出の程度に関わらず過去の経緯より選定し、大きく分けて次の2種類に分類されます。

① 人の健康の保護に関する項目:31項目
② 性状に関する項目(生活支障上に関連するもので):20項目

項目の詳細については、厚生労働省ホームページにてご確認ください。
【厚生労働省】水質基準項目と基準値(51項目)

水質基準値の設定について

水道水質基準の設定は、「人の健康の保護に関する項目」「性状に関する項目」で設定方法が異なります。「人の健康の保護に関する項目」の場合、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じないレベルを基として設定しています。具体的には、閾値があると考えられる物質については以下に示す条件で対象物質の1日暴露量が耐容一日摂取量※1(TDI)を超えないように評価値を設定しています。

【設定条件】
①1 日飲用する水の量を 2L
② 人の平均体重を50kg(WHO では 60kg)
③ 水道水由来の暴露割合として、TDIの10%(消毒副生成物は20%)を割り一方、閾値がないと考えられる物質については、実質安全用量VSD※2 又はリスク評価をもとに評価値を設定しています。

また、「性状に関する項目」の場合では、色、濁り、においなど生活利用上障害を生ずるおそれのある項目など、水道水の性状として基本的に必要とされる項目を選定し、影響が生じる濃度レベルを基に評価値を設定しています。

※1耐容一日摂取量(TDI)とは、ある物質を人が生涯を通じて摂取し続けても健康に影響が出ないとされる体重1kg当たりの1日分の摂取量をいいます。
※2実質安全量(VSD)とは、ある物質の摂取により生涯を通じたリスク増分が 10-5(10万人に1人)となるリスクレベルをもって TDI に相当する値をいいます。

水道水質検査について

水道事業者等は水道水質基準の順守義務、また、定期及び臨時の水質検査の義務が定められています。この「水道水質検査」の適正な実施にあたり、水道法第20条第3項により、水道事業者に対して必要な検査施設を設けて行う、もしくは地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者(登録検査機関)に委託して行うこととしております。この水質検査の対象としては「水道事業者」のほか、「水道用水供給事業」や「専用水道設置者」が含まれます。

まとめ

今回は身近にある水道について、法律や管理体制など私たちが安心して使用できる仕組みの一部をお話いたしました。国や地方自治体、また、私たち国民もそれぞれ責務があることもご理解いただけたかと思います。また、水道水質基準を確認するための検査体制は重要な役割を果たしており、検査を行うためには登録検査機関等に依頼することが必要となります。弊社も登録検査機関として、これまで水道水質検査の実績があります。水道水質検査についてご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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参考資料
【厚生労働省】水道対策について

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