『界面活性剤』日常生活に欠かせない洗浄剤の秘密
セッケンや合成洗剤などの界面活性剤は、からだ、衣類、食器などの洗浄剤として日常生活で広く利用されています。その界面活性剤についてお話します。
目次
1.界面活性とは
2.界面活性剤の種類
2-1.アニオン界面活性剤
2-2.カチオン界面活性剤
2-3.両性界面活性剤
2-4.非イオン性界面活性剤
3.まとめ
界面活性とは
水と油とは互いに混ざり合わないですが、これにセッケン水を加えて振り混ぜると、安定な乳状の混合物(乳濁液)を得ることが出来ます。乳濁液では、油の小滴のまわりに多くのセッケン分子が疎水基(油と混じり合う部分)を内側に親水基(水と混ざり合う部分)を外側に向けて集合し、安定な粒子(ミセル)をつくっています。
引用:日本界面活性剤工業会
異なる性質を持つ二つの物質の間の境界面を界面といいますが、セッケン分子のように界面に吸着し、その表面張力を低下させる作用を界面活性といいます。水をコップの口まで注ぐと少し盛り上がりこぼれません。このことを表面張力といいますが、そこに界面活性剤を1滴垂らしてみると表面張力が弱まって盛り上がっていた部分の水がこぼれてしまいます。界面活性剤は液/液界面の表面張力のほかに、気/液界面や固/液界面での界面張力を低下させるため、ぬれ(固体表面に液体が付着したもの)性を向上させる性質があります。これは衣類に液体を染みこみやすくなる、肌に浸透しやすくすることができ、染物や、化粧品などにも用いられています。
界面活性剤の種類
ここでは、界面活性の働きを持った化学物質である界面活性剤について簡単にご紹介します。
界面活性剤は数多くの機能を発揮するために分子設計され、大きく分けて4つのタイプが存在します。それぞれ水に溶けた時に、電離してイオンとなるイオン性界面活性剤が3タイプあり、イオンにならない非イオン界面活性剤の1つとで合計4つのタイプがあります。
またイオン性界面活性剤の3つのうち、水に溶けた場合のイオンの種類により、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤に分類されます。
引用:日本界面活性剤工業会
アニオン界面活性剤
水に溶けると、電離してアルキル基側(界面活性を示す部分)が陰イオン(アニオン)になる界面活性剤をアニオン界面活性剤といいます。乳化・分散性に優れる、泡立ちが良い、温度の影響を受けにくいという特徴があります。洗濯洗剤やシャンプーなどに用いられています。
カチオン界面活性剤
水に溶けると、電離してアルキル基側(界面活性を示す部分)が陽イオン(カチオン)になる界面活性剤をカチオン界面活性剤といいます。繊維などへ吸着する、帯電防止効果がある、殺菌性があるという特徴があります。柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、トリートメントなどに用いられています。
両性界面活性剤
1分子中にカチオンとアニオンの両方をもつ界面活性剤を両性界面活性剤といいます。皮膚に対してマイルド、水への溶解性に優れる、他の活性剤と相乗効果ありという特徴があります。シャンプー、殺菌剤、台所用洗剤などに用いられています。
非イオン性界面活性剤
イオン性界面活性剤のように水溶液中でイオンに電離せず電荷をもたない界面活性剤を非イオン性界面活性剤といいます。親水性と疎水性のバランスを容易に調整できる、乳化・可溶化力に優れる、泡立ちが少ない、温度の影響を受けやすいという特徴があります。乳化剤、帯電防止剤、洗濯洗剤などに用いられています。
まとめ
今回は界面活性剤の種類についてお話ししました。界面活性剤には様々な性質があります。また、種類もたくさんあり、特徴が異なります。そのため用途に合わせた界面活性剤を選ぶことがとても重要になります。お買い物などをする際に、ふとこのコラムのことを少しでも思い出していただけると幸いです。
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