2022.05.26
コラム

石綿規制が強化されます!①~『大気汚染防止法』の改正内容について解説~

令和2年6月5日に建築物等の解体等工事に伴う石綿(アスベスト)の飛散防止策の強化を図るため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が公布されました。改正法は,令和3年4月1日から順次施行され規制が拡大します。このコラムでは改正内容について説明したいと思います。

目次
1.石綿建材のレベルとは
2.主な改正内容について
2-1.規制対象建材の拡大
2-2.事前調査結果の都道府県等への報告が義務付け
2-3.作業基準及び罰則の拡大
2-4.作業記録の作成・保管と作業結果の発注者への報告の義務付け
3.各改正事項の施行日
4.最後に

石綿建材のレベルとは

法改正内容の説明の前に、まずは石綿建材のレベルについてお話します。石綿は石綿繊維の飛散のしやすさに応じてレベル1からレベル3に分類されています。レベル1が最も飛散しやすく、レベル2、3の順に飛散性が低くなります。レベル1、2建材と比較してレベル3建材の数は桁違いにあり、例としてはビニル床タイルやソフト巾木、石膏ボード、岩綿吸音板などがあります。各レベルの石綿含有建材は次の通りになります。

・レベル1(飛散性が著しく高い)・・・吹付材
・レベル2(飛散性が高い)・・・保温材、断熱材、耐火被覆材
・レベル3(飛散性が比較的低い)・・・成形板などレベル1、2に該当しないもの

主な改正内容について

規制対象建材の拡大

大気汚染防止法では解体工事等による大気中への石綿飛散を規制しています。これまではレベル1とレベル2建材が規制対象でしたが、レベル3建材は石綿の飛散性が比較的低いとされており規制されていませんでした。

しかし、レベル3建材の飛散性が低くても、不適切な除去作業を行えば石綿繊維は飛散してしまうため問題とされていました。そこで今回の改正によりレベル3建材も対象に含まれ、全ての石綿含有建材が規制されることとなりました。ただし、レベル3建材の数は膨大にあることから、レベル3建材については工事負担を抑えるために都道府県知事への作業実施の届出は必要としていません。しかし、作業計画についてはレベル3建材の特定工事でも定める必要があるため注意が必要です。

事前調査結果の都道府県等への報告が義務付け

これまでは不適切な事前調査による石綿含有建材の見落としが問題となっていました。今回の改正により一定規模以上の建築物について「石綿含有建材の有無にかかわらず」調査結果の都道府県等への報告が義務付けられました。報告の方法は環境省と厚生労働省が連携して整備された電子システムを原則利用するとしています。一定規模以上の建築物とは次の通りです。

・解体工事・・・床面積合計80m2以上
・建築物の改造・補修工事・・・請負代金合計100万円以上(材料費・消費税を含む)
・工作物の解体・改造等工事・・・請負代金合計100万円以上(材料費・消費税を含む)

さらに、この事前調査を行う者は調査を適切に行うための必要な知識を有する者とされ、具体的には次の通りになります。

・建築物石綿含有建材調査者講習を修了した者(一戸建て等石綿含有建材調査者は、一戸建て住宅等に限る)
・義務付け適用前に一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者

作業基準及び罰則の拡大

レベル3建材も規制対象になったことを受け、石綿含有成形板等と石綿含有仕上塗材について作業基準が新設されました。基本的には切断や破砕等することなく、そのまま建築物から取り外すことが求められています。これが困難な場合は薬剤等による湿潤化も可能です。レベル3建材の中でもケイ酸カルシウム板第1種と仕上塗材の除去においては、除去する部分の周辺を事前に養生する必要がある場合もあります。

また、これまでは作業基準の違反者に行政命令を行い、この命令に違反したときに初めて罰則が科せられていました(間接罰)。今回の改正によりレベル1、レベル2建材にかかわる工事において、除去等の措置を定める方法により行わなかった者に対して罰則が設けられました(直接罰)。短期間の解体工事では行政命令を行う前に工事が終わってしまう場合があるため、これを設けることで石綿飛散防止を徹底することを目的としています。

作業記録の作成・保管と作業結果の発注者への報告の義務付け

これまでは不適切な作業による石綿含有建材の取り残しが課題となっていました。この改正により石綿含有建材の除去作業や石綿飛散防止措置の記録を作成し保存することが義務付けられました。また、その作業結果を発注者に書面で報告することも義務付けられました。

各改正事項の施行日

「2. 主な改正内容について」で紹介した改正内容は基本的には令和3年4月施行となりますが、一部は順次施行されることとなります。

・令和3年4月施行・・・下記以外の改正事項
・令和4年4月施行・・・事前調査結果の都道府県等への報告
・令和5年10月施行・・・調査を適切に行うための必要な知識を有する者による調査の実施(施行前でも有資格者による調査が望ましいとされています。)

最後に

今回は大気汚染防止法の改正内容について紹介しました。環境省のホームページに法改正説明資料があるため、より細かいところに興味のある方はそちらもご確認ください。動画による説明もあります。今後、石綿含有建材を使用した建築物の解体がより増えると考えられます。レベル3建材の規制が追加されたことにより工事負担が大きくなりますが、石綿飛散防止対策を適切に行うことが大切です。弊社では有資格者による事前調査を行っていますので、ぜひお任せください。
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【法改正説明動画】大気汚染防止法及び政省令の改正について

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