騒音の定義と騒音レベルについて計算式を含めて解説します!
騒音とは、不快で好ましくない音とされており、典型7公害の一つに該当します。不快で好ましくないといっても、すべての人類があるひとつの事象について不快な音と認知できないため、人によって騒音としての捉え方がさまざまなであることが騒音問題の特徴でもあります。
目次
1. 騒音の種類について
2. 騒音レベルについて
3. 音圧から騒音レベルを求める
4. デシベルの計算について
5. 背景騒音(暗騒音)について
6. 最後に
騒音の種類について
騒音といっても、音はどこからでも発生するため一つ一つ取り上げるのは難しいですが、分類すると概ね以下の通りになります。
(1)工場・事業場騒音
(2)建設作業騒音
(3)自動車騒音
(4)鉄道騒音
(5)航空機騒音
(6)生活騒音
(7)低周波音騒音
騒音レベルについて
音は音圧であり、その音圧(実効値)の2乗と基準音圧(0.00002)の2乗との比の常用対数の10倍から音圧レベルを求めます。この音圧レベルと騒音レベルは混同して扱う方もいますが厳密には違う点があります。人の聴感とは、聞き取りやすい2000Hz~4000Hzの音もあれば聞き取りにくい32Hzや63Hzの音が存在します。これらの周波数ごとの音圧レベルに人の聴感を考慮してレベルを補正させ、合成したものが騒音レベルになります。つまり、騒音の大きさの指標は騒音レベルになります。また、補正しない単純な音圧レベルを平坦特性、聴感感覚補正を専門用語でA特性といい、結果にdB(A)と記載があるものは聴感補正された後の騒音レベルに該当します。また、昔の騒音レベルの表示では、カタカナ表記で「ホン」という単位がありましたが現在では使われておりません。英語表記で「phon」というものがありますが、これは音の大きさのレベルの単位で今も使われております。
音圧から騒音レベルを求める
ある機械から250Hzが71.6dB、500Hzが66.2dB、1000Hzが69dB、2000Hzが64.8dBの音を発生させているとします。この場合の騒音レベルはいくつになるでしょうか。実際の騒音計では、周波数ごとの聴感補正は等ラウドネス曲線という補正回路が組み込まれており、可聴域範囲の周波数ごとの音圧レベルについて細かく補正され、合成された結果が表示されるようになっております。この等ラウドネス曲線から補正値と導くと、250Hzは-8.6dB、500Hzは-3.2dB、1000Hzは補正なし、2000Hzは+1.2dBとなります。これらの補正値からA特性音圧レベルを求めると、250Hzは63dB、500Hzは63dB、1000Hzは69dB、2000Hzは66dBになります。この数値を合成すると72dBになり、これが騒音レベルになります。この合成方法をパワー和といいます。
デシベルの計算について
レベルで表示されるものは、濃度や質量の単位とは異なり、常用対数を用いて求められています。したがって、常用対数について理解することが必要となります。100000という数値は10を底とする常用対数にすると10の5乗なので5になります。
[log10(100000)=5]
この関係性を用いてデシベルのパワー和を行うと、式はL=10log10{10^(A/10)+10^(B/10)}になります。
例えば、60dBのA音源と70dBのB音源の音が合わさった時のパワー和は、
10^(60/10)→10^6→1000000
10^(70/10)→10^7→10000000より、
10log10(1000000+10000000)=70.4dBとなります。
つまり、60dBのA音源の音が70dBのB音源の音に合わさったとしても、たった0.4dBしか増えない計算になります。これを仮に、A音源とB音源の音がそれぞれ70dBとして2つの音源の音が合わさった場合のパワー和を求めると、答えは73dBになります。同じ音の合成でも3dBしか増加されないため、騒音問題の場合、観測される地点の音の減少が如何に難しいかを意味しています。ちなみに、今は2つの音源が同じ音圧レベルを出力することを仮定しましたが、これはもとの音圧レベル(70dB)に2倍である10log2が増加されることを意味しており、70+3dBの結果になります。仮に同じ音圧レベルを出力する音源を5台用意すると10log5で+7dBの増加、10台用意すると10log10で+10dBの増加となります。
背景騒音(暗騒音)について
ある音源だけに対して音圧レベルを求める場合、ほとんどの環境下では他の音の影響も少なからず受けてしまいます。騒音ではこの対象となる音以外の音を背景騒音といい、以前は暗騒音といわれておりました。計算方法は先ほどのデシベルの合計の逆式になります。例えば、対象施設の騒音と背景騒音を含めた騒音レベルが63dBとします。そして、この対象施設を止めるなどして、この施設からの音を除いた騒音レベルが60dBとする(背景騒音)と、対象施設からの騒音レベルはデシベルの合成によって3dB上昇したことになるので、騒音レベル60dBとなります。
対象の騒音があるときとないときの差がわかれば、以下の表を用いて補正することで対象施設の騒音レベルを推定することができます。
対象の騒音があるときとないときの指示値の差 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
補正値(dB) | -3 | -2 | -1 |
最後に
騒音とは、不快に聞こえる音です。この本質としては、その音が不快に該当するのか、不快に該当しないのか境界線が曖昧なものでもあります。いくら規制を遵守していても、その人が不快な音として認識してしまうとそれは騒音として扱われます。音は分け隔てなく人の耳に届いてしまうものであるからこそ、音を発している方は苦情に繋がらないように配慮することが求められます。
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