2021.12.16
コラム

個人サンプリング法について詳しく解説(後編)

令和2年1月に作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令及び作業環境測定基準等の一部を改正する告示が公布及び告示され令和3年4月から個人サンプリング法が適用されることとなりました。新しい内容且つ難しい内容も多いことから本項目では前編で伝えきれなかった個人サンプリング法の基礎を紹介したいと思います。

前編はこちらから↓
個人サンプリング法について詳しく解説(前編)

目次
1.均等ばく露作業と単位場所、労働者の選定
2.C測定
3.D測定
4.最後に

均等ばく露作業と単位場所、労働者の選定

前編では個人サンプリング法の対象作業や対象物質について説明しました。この章では測定における単位作業場所、労働者の人数等について説明します。単位作業場所とは、当該作業場区域の内、労働者の作業中の行動範囲や有害物質の分布状況を踏まえて作業環境測定に必要な区域のことをいいます。個人サンプリング法でも、この区域については従来のA、B測定と変わりません。測定は原則均等ばく露作業毎にそれぞれ5人以上を対象として行います。労働者の人数が5人未満の場合は全作業時間を分割して測定点を5つ以上にすれば個人サンプリング法として測定することが可能です。上記で挙げた均等ばく露作業とは、労働者がばく露する測定対象物質の量がほぼ均一であると見込まれる作業のことをいいます。

例として、大型塗装物Aに吹き付け塗装作業する労働者が①②③の3名、塗装物Bに手塗りのタッチアップ塗装作業する作業者④⑤が2名いるとしますと、2種類の作業では使用する対象物質の量が均一でないとされることから2つの作業を分けて測定する必要があります。

C測定

従来のA、B測定の代わりに個人サンプリング法ではC、D測定とういうものに変更されます。C測定とは、前章で述べた均等ばく露作業に従事する労働者全員に試料採取機器を装着し単位作業場所で行う作業全時間を対象とします。その作業時間が2時間であれば2時間、8時間であれば8時間を測定時間とします。測定時間の注意点ですが、短時間でも測定することは可能ですが管理濃度の10分の1を上回ることがないように測定時間を確保する必要があります。

D測定

従来のB測定の代わりになるものがD測定となります。よって均等ばく露作業の労働者の中で、く露が最も高くなると想定される作業を行う労働者が対象となります。C測定の最中にばく露が最も高くなると想定される作業が行われる場合、その作業を行う作業者にはC測定のために装着している試料採取機器とは別にもう1つ試料採取機器を装着する必要があります。従来のB測定では10分間の試料採取を行うこととなっていましたが、D測定では連続した15分間行うとされています。このことから、単位作業場所における労働者の作業に従事する時間が1日に15分未満の場合には個人サンプリング法を実施することはできません。個人サンプリング法では、試料採取機器を労働者の呼吸域付近が望ましいと決まっているため労働者の方々は常に作業がやりにくく煩わしいと感じると思います。

最後に

個人サンプリング法について前編後編と分けて説明しましたが、簡単な説明でしたので細かい内容についてまだまだ不明点は多いと思います。今後個人サンプリング法について考えることがありましたら、作業環境測定を実施する際に従来のA、B測定を実施するか個人サンプリング法によるC、D測定を実施するかは事業者が選択することができます。法令上ではどちらを選択しても問題はなく正解はありませんのでどちらの方法が現状の作業環境の実態をより適切に評価できるかという観点で選択することが望ましいです。

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