人と植物のかかわり
植物とはなにか
植物の誕生は、20億年前の藻類(水中)からはじまり、苔類(陸上)、シダ類へと進化し現在の樹木や草花となったそうです。陸上に植物が進出したことで、地球に土壌が形成されました。土壌は生物の遺体と分解された物質を蓄積し、陸や海に栄養を供給して生物を育てるという役割を果たします。多くの植物は光(太陽)に当たることで、体内の水と大気中の二酸化炭素から栄養分としての炭水化物(デンプン)を作り生命を営んでいます。また、動物などが排出する二酸化炭素を吸収し、有機物や酸素に変えて地球の大気を浄化して私たち動物の命を支えてくれます。
ヒトの誕生による植物への影響
植物の誕生から何億年も後に動物は出現しました。更にヒトの誕生は新しく600万年前の猿人類(二足歩行)からはじまり、20万年前の新人類へ続くと言われています。地球は初め植物、動物、微生物の相互の助け合いで安定した生態系を維持していました。しかし、ヒトの出現によって人間中心の生態系へと変わり、近年では資源の大量消費や環境汚染で自らの居場所(地球)を失いかけています。
森林の伐採も環境破壊の大きな一因といわれています。森林や熱帯林を農地に変えるため、樹木を伐採し草木を焼き払い、生息地を失った森の生物は絶滅し連鎖的に生態系は崩れました。このように植物たちが消えると土地の砂漠化が進みます。
植物は何も言いません。そんな私たちを黙って見ているだけです。ヒトが誕生し現代に至るまで私たちに命の恵みをくれた植物、これからは植物の命を大切にして、お互いが助け合い共に成長していくことが望まれます。
植物と共に生きる
筆者は命を受けて今年で63年です。子供の頃は木に棲むカブトムシやセミを採ったり、木に登りアケビのつるを引き寄せて実を採ったりと、自然に木の肌ざわりや、香りを感じていました。しかし、大人になると木登りなどする機会もなく、木や草花は観賞するだけのものとなりました。30代の半ば、盆栽の樹姿に魅力を感じ収集することになり、はじめのうちは高価な盆栽ほど素晴らしいものだと、植物をお金で評価してきたのです。
花が咲き、秋に実となり、種をまいて実生を育てる。剪定した若い枝を床に挿し、挿し木を育てる。次第に買うことから育てることへと植物との向き合い方が変わりました。
朝の水やりは心を落ち着かせます。苗床に二葉が顔をみせたとき、花が咲き結実した小さな命を見つけたとき、昨日より背丈の伸びた草木を眺めながら元気に育ってほしいと、ただそれだけを考えている時間です。
今回のまとめ
私たちの命の源はすべて植物に始まります。植物は身近にあり今も私たちはさまざまな恵みを受けていますが、私たちはその恵みを無駄に消費したり、お金に換えるために利用したりしています。植物と人のかかわりはそれだけのことでしょうか?人は緑に癒され、芽吹いたばかりの新芽に微笑み、育てることに豊かさを感じます。植物の大切さを知り、人が手を入れ育てること、種を絶やさないことが植物と共に生きる人のかかわりであると思うのです。
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