『計量士』の仕事となるための方法
普段、私たちがお客様から頂いた分析や測定について結果報告する際、とても重要な役割を担っているものの一つに「計量士」があります。ここでは、計量士の仕事などを簡単にお話したいと思います。
計量士の仕事
計量士は、計量に関する専門の知識・技術を有する者に対して与えられる国家資格で、環境計量士(濃度関係)、環境計量士(騒音・振動関係)、一般計量士の3区分があります。
計量士の仕事は、計量管理です。計量法では計量管理とは「計量器の整備、計量の正確の保持、計量の方法の改善その他適正な計量の実施を確保するために必要な措置を講ずること」と定められています。
(株)愛研のような環境計量証明事業所では、工場等から依頼を受けて排水や排ガス中の物質濃度、また、騒音や振動レベルを測定して計量証明書として報告しています。この時、試料の採取から分析を行い、分析結果を出す過程で正しい器具や機器を用いて正しい方法で測定・分析が行われているかを管理し、その結果を反映した計量証明書を発行するのが計量士(環境計量士)の仕事になります。
ちなみに、郵便局へ行くとカウンターに「はかり」が目に入ると思います。また、スーパーへ行くと肉屋さんにも「はかり」があります。この「はかり」や「ものさし」、「温度計」などの計量器の精度を管理しているのが一般計量士です。
計量士になるには
計量士になるためには、2つの方法があります。
1つは計量士の国家試験に合格することで、「国家試験コース」といわれています。試験は毎年12月に行われています。出題科目は、計量関係の法律、化学や物理の基礎知識、化学分析や音響・振動などの専門知識が出題されます。幅広い出題範囲であることから合格率はやや低く、令和3年の試験では環境計量士(濃度関係)が16.8%、環境計量士(騒音・振動関係)が17.5%、一般計量士が23.4%です。試験に合格後、登録を申請する際は1年間の実務経験が必要です。環境計量士は「国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量研修センター」が実施する1週間の環境計量講習の受講などが、実務経験の代りに認められています。
もう1つは、「国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量研修センター」が実施する教習を受講することで、「資格認定コース」といわれています。一般計量士は3ヶ月の一般計量講習を受講する必要があります。環境計量士はこの講習を受講後、さらに濃度関係は7週間、騒音・振動関係は2週間の環境計量特別講習を受講します。受講終了後、環境計量士は2年間、一般計量士は5年間の実経験と計量行政審議会の書面審査と口頭試験で合格したものが登録を申請することが出来ます。
最後に
計量制度は、商取引を円滑に進めるための重要な制度です。計量士は、計量制度を支えるため幅広い知識と実務経験が必要です。
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