2022.11.24
コラム

酸性とアルカリ性のそれぞれの注意点

私は仕事上、酸性やアルカリ性の薬品をよく使用します。硫酸や水酸化ナトリウムなどの薬品を使用する時は、皮膚に触れると火傷などの怪我をしてしまうため、手袋を着用しています。皆さんも同様に注意されているとは思いますが、酸性や塩基性の性質をお伝えすることで薬品の危険性をより知っていただければと思います。

目次
1.酸性、アルカリ性とは
1-1.酸性、アルカリ性について
2.危険性及び注意点
2-1.SDS及びGHSについて
2-2.酸性
2-3.アルカリ性
3.まとめ

酸性、アルカリ性とは

酸性、アルカリ性について

酸性の物質は青色リトマス紙を赤色、BTB水溶液を黄色にします。アルカリ性の物質は、赤いリトマス紙を青色、BTB水溶液を青色にします。酸性やアルカリ性であっても強弱があり図1のように色の変化で判定できるので、分かりやすいと思います。

図1

危険性及び注意点

SDS及びGHSについて

薬品の危険性や取扱う際の注意点は、SDS(Safety Data Sheet:安全データシート)、GHS (Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicais)ラベルで確認することができ、図2のように薬品の容器や梱包に貼付されています。

図2

酸性

酸性はpH7以下でpH1に近いほど強くなり、主な危険性は、金属を錆びさせ(腐食)、皮膚の火傷や一部刺激臭(鼻をさすような強い臭い)があります。私の経験で手袋と袖の隙間に少し落ちてしまい、皮膚がヒリヒリし痛かった経験があります。直ぐに流水でしばらく流しました。接触後の処置も大切です。強酸の例としては濃硫酸があり、無色透明の液体で無臭です。GHSラベル(絵表示)は、図3になります。

図3
「どくろ」

「腐食性」

「健康有害性」

アルカリ性物質、有機物、可燃物及び還元性物質、金属と接触すると水素ガスなど発生し、引火や爆発する危険性があるため接触を避けて下さい。弱酸の例としては酢酸があり、無色透明の液体で刺激臭があります。引火性の液体及びガスを発生するため、火気厳禁です。GHSラベルは「腐食性」、「健康有害性」と図4の「炎」、「感嘆符」になります。

図4
「炎」

「感嘆符」

高温物質、強酸化剤との接触を避けることで一酸化炭素などの発生を防げます。保管は換気された涼しい場所で、直射日光を避けて密閉して下さい。

アルカリ性

アルカリ性はpH7以上でpH14に近いほど強いアルカリ性を示します。苦味があり触るとヌルヌルとします。アルカリ性の物質が皮膚のタンパク質を侵し、浸透しながら深部まで達し皮膚の組織を損傷させるため、接触したら直ぐに流水で洗って下さい。酸性のように接触した時の強い痛みが塩基性は弱く気づきにくいです。そのまま放置すると重症になることもあるため、この性質は酸性よりも危険であると言えます。

強アルカリ性の例としては水酸化ナトリウムがあり、粒状の白色の固体で無臭です。GHSラベルは「腐食性」、「健康有害性」で、吸湿性及び潮解性のため、空気中の水分により溶けていきます。強酸性物質と接触すると反応し、引火性の気体などが発生するため接触を避けて下さい。

弱アルカリ性の例としては炭酸ナトリウムがあり、白色で粉末及び顆粒です。GHSラベルは「腐食性」、「感嘆符」で、強酸化剤と接触すると一酸化炭素などのガスを発生します。一酸化炭素は、毒性が強く中毒症状があり死にいたるため、接触を避けて下さい。保管は換気された涼しい場所で、直射日光をさけて密閉して下さい。

まとめ

酸性・アルカリ性の強弱に関係なく、薬品の使用を間違えると危険なものがあります。塩酸や酢酸のように単体でガスを発生し、眼や呼吸器を刺激する物質もありますし、混合することで人体に有害なガスを生じるものもあります。薬品を使用する前にはSDS、表示ラベル、絵表示などを確認することが大切です。普段から薬品の使用に慣れてしまうと危機感が薄れてしまうこともありますが、直接触れてしまったり混合してしまうことで、怪我や事故に繋がってしまいます。自らこれらのことを注意することで、自分の身を守りつつ、周囲の方々や環境にも危険を生じさせることなく安全に薬品を使用できると私は思います。基本の保護具や手袋を着用することは大事です。皆さんも注意して使用しているとは思いますが、十分に気をつけ薬品と上手く付き合っていきましょう。

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