2022.07.14
コラム

『大気汚染防止法』を知っていますか?(後編)

前回のコラム『大気汚染防止法』を知っていますか?(前編)では、大気汚染物質が制定された背景から、その法の概要について説明しました。
今回は、大気汚染防止法で規制している物質の中で、ばい煙についてご紹介します。

目次
1.ばい煙
1-1.ばい煙とは
1-2.ばい煙発生施設について
2.排出基準の種類
2-1.一般排出基準
2-2.特別排出基準
2-3.上乗せ排出基準
2-4.総量規制基準
3.まとめ

ばい煙

ばい煙とは

大気汚染防止法では、工場及び事業場から排出又は飛散する大気汚染物質について、物質の種類、施設の種類・規模ごとに排出基準等が定められています。
その中で「ばい煙」とは、一般的に工場などで物を燃焼させた際に発生するいおう酸化物ばい塵(スス)、有害物質(カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、弗素、弗化水素及び弗化珪素、鉛及びその化合物、窒素酸化物)を指します。

ばい煙発生施設について

大気汚染防止法では、工場または事業場に設置する施設で大気汚染の原因となるばい煙を発生させるおそれのある施設であるボイラー、加熱炉、溶解炉、乾燥炉、廃棄物焼却炉といった種類ごとに、一定の規模以上のものを「ばい煙発生施設」と定めています。「ばい煙発生施設」を設置、又は構造等を変更しようとする場合は、工事着手の60日前までに、都道府県等へ届出が必要となります。
また、「ばい煙発生施設」の設置者は、排出基準を遵守するとともに、定期的にばい煙濃度を測定し、その結果を記録しなければなりません。
大気汚染防止法以外に、県などによる条例によりばい煙発生施設の排出基準が上乗せで定められています。よって、対象となる施設が設置してある地域に応じた確認が必要となります。

排出基準の種類

ばい煙発生施設に係る排出基準は量規制・濃度規制・総量規制の方法によって規制しています。

一般排出基準

一般排出基準は、ばい煙発生施設ごとに国が定める全国一律の基準です。

特別排出基準

大気汚染の深刻な地域において、新設されるばい煙発生施設について適用されます。いおう酸化物、ばいじんに対しての基準です。

上乗せ排出基準

上乗せ排出基準とは、一律排出基準、特別排出基準では大気汚染防止が不十分な地域において、都道府県が条例によって定める、より厳しい基準です。ばいじん、有害物質に対しての基準です。

総量規制基準

上記に挙げる施設ごとの基準のみによっては、環境基準の確保が困難な地域において、大規模工場に適応される、工場ごとの基準です。硫黄酸化物、窒素酸化物に対しての基準です。

まとめ

大気汚染防止法の「ばい煙」の対象施設及び基準について簡単にまとめてみました。基準の分類では、当該設備の設置地域や事業場の業種・規模や排出される物質により規制項目や基準値も異なるため、注意が必要です。
弊社には計量証明機関として、多くの測定実績があります。工場の排出ガスや石綿等の測定についてご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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参考資料
・【環境省】大気汚染防止法の概要
・【環境省】大気汚染防止法の対象となるばい煙発生施設
・【環境省】工場及び事業場から排出される大気汚染物質に対する規制方式とその概要 
・【愛知県】大気環境対策(大気汚染防止法・県条例関係)

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