2021.11.18
コラム

SDGsと環境分析

地球環境の修復と、循環型社会の構築を目指した世界共通の目標SDGsに測定分析業はどのような役割を担うのか。

目次
1.地球環境の破壊と修復
2.化学物質の影響
3.SDGsと測定分析

地球環境の破壊と修復

地球の白亜紀末に、巨大隕石の衝突で発生した熱風、地震、津波、さらに大気中のチリによる太陽光の遮断、長い冬の時代。その後に温室効果ガスが大量放出し、猛烈な温暖化によって地球環境が破壊され、生物(恐竜)の大量絶滅が起きたとされています。それから6600万年後の現代、地球は人類の誕生によって同じような危機に曝されようとしている⁉。ちょっと大げさな話になりましたが、事実、いま世界は地球温暖化を真剣に受け止め、各国で取り組みを始めています。18世紀の産業革命以来、人間の社会・経済活動によって温室効果ガスは増加の一途をたどり、現在100~200年で1.2℃という気温の急上昇が起こっています(ロックダウンで大気汚染が改善された⁉)。また、「水不足、海洋汚染、森林減少、生物多様性の損失、砂漠化や土壌劣化」など、環境破壊も人為的要因が大きいと言われています。1990年代半ば頃から、これら環境問題に対する国際協力の枠組みとして、様々な条約が交わされ、国連は2000年ミレニアム開発目標(MDGs)を採択、そして2015年先進国・途上国すべての国を対象に持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。SDGsの掲げる国際目標には環境側面の課題解決を目指すゴールがあります。地球を元通りにすることは出来ませんが、地球環境を修復し共生していくことを目指し世界は取り組みを始めました。

化学物質の影響

18世紀後半、産業革命が生み出したものに温暖化の要因ともいうべき化学物質の存在があります。重化学工業は社会経済の高度な成長を促し、私たちの生活を豊かにすると同時に環境への負の影響をもた
らしました。スモッグ公害と呼ばれた大気汚染からはじまり、水質汚濁土壌汚染などで地球環境に悪い影響を及ぼしました。化学物質がもたらす負の影響には地球環境の他に、人の健康や生態系への影響があります。環境省は化学物質の安全性を「健康への悪影響の可能性が許容可能な水準までに抑えられている状態」と定義し、「有害物質が規制値、基準値以下である状態」としています。また、SDGs目標6(水と衛生の利用可能性と持続可能な管理)のターゲットに「汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する」という達成基準があり、有害物質の排出量の減少が重要であることを示しています。天然物を含むすべての化学物質は、過度のばく露により有害な物質へと変わります(パラケルススの名言「全てのものは毒であり、毒でないものはない。摂取量のみが毒か否かを決める」)。私たちの生活の中からすべての化学物質を無くすことは不可能です。化学物質を人や生態系、あるいは地球環境に悪影響を及ぼさない量に減らすことが、子供たちの未来を持続可能にするひとつの道なのです。

SDGsと環境分析

地球の資源である大気、水、土壌そして動植物の安全、安心を確保するために、すべての企業(自社も含め)は有害な化学物質の廃棄、排出を減少させる責任があります。そして、実効性のある環境保全への取り組みが、自治体や各企業に求められています。化学分析は見えないものを数値によって出現させ、化学物質の量を計ることが出来ます。そして、化学物質の特性を知ることでその量をコントロールする技術も見つけ出すことが出来ます。私たち測定分析業は、そうした自治体や各企業の取り組みを数値で表し評価することで環境保全の一端を担っていると考えます。 排ガス処理や排水処理技術の評価試験、水道水、飲料水などの安全性検査、騒音や振動、悪臭などの住環境測定など各種の測定分析を主体に、近年はWET試験(魚、ミジンコ、藻類の応答を利用した排水水質試験)や環境DNA検査など生態系への影響調査にも範囲を広げ、SDGs取組のツールとして環境保全の向上に貢献しています。

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