ガスクロマトグラフ(GC)について知っていますか?
ガスクロマトグラフとはGCやガスクロともよばれ非常にポピュラーな分析手法です。ここでは、ガスクロマトグラフの特徴と構成について紹介します。
目次
1.ガスクロマトグラフ(GC)とは
1-1.ガスクロマトグラフの定義
1-2.間違いやすい用語
1-3.身近なクロマトグラフィー
2.クロマトグラムについて
2-1.ピーク
3.ガスクロマトグラフの構造
3-1.基本構造
3-2.カラム
3-2.検出器
4.まとめ
ガスクロマトグラフ(GC)とは
ガスクロマトグラフの定義
GC(Gas Chromatograph)は、気体の分析手法であるガスクロマトグラフィーを行う装置です。分析対象は気体および液体(試料気化室で気化する成分)です。混合試料を分析すると物質ごとに分離・定量することができます。
間違いやすい用語
クロマトグラフィー…分離分析の方法
クロマトグラフ…クロマトグラフィーを行う装置
クロマトグラム…クロマトグラフィーのデータ
身近なクロマトグラフィー
ノートやメモ用紙に書いた文字の上に水をこぼした時や、雨の日にカバンの中でプリントが濡れて文字が滲んでしまった経験がありませんか。水に溶けやすいインクの成分は紙にどんどん滲んでいき、溶けにくい成分は滲まずその場にとどまります。インクの例のように固定相(紙)に接して流れる移動相(水)に試料(インク)を性質によって分離することことをクロマトグラフィーと呼びます。移動相が気体のものをガスクロマトグラフィー、液体のものを液体クロマトグラフィーと呼んでいます。固定相はカラムの中に充填されています。
クロマトグラムについて
ピーク
検出器から得られた信号はピークと呼ばれ山のような形状をしています。試料注入からピークが頂点に達するまでの時間を保持時間(リテンションタイム)といいます。分析条件が一定なら物質によって保持時間は決まった時間になるため標準物質と比較し、ピークの面積や高さによって成分の濃度を計算することができます。
ガスクロマトグラフの構造
基本構造
ガスクロマトグラフの基本構造はいたってシンプルです。「液体試料を加熱し、気化するための試料気化室」・「各化合物に分離するためのカラム」・「各化合物を検出し、その濃度を電気信号として出力する検出器」の3点です。試料気化室でガス化された試料を運ぶガスをキャリアガスと呼びます。キャリアガスは主にヘリウムと窒素が用いられています。
カラム
ガスクロマトグラフのカラムには主にパックドカラムとキャピラリーカラムの2種類があります。
パックドカラムとは古くからあるカラムで公定法やガス分析で需要があります。ピークが緩やかな山型になり分離がシャープではありませんが、カラムに詰められる充填剤の種類が多く分析に適したカラムを選べるという利点があります。
キャピラリーカラムとは現在主流のカラムであり、ピーク形状がシャープです。パックドカラムに比べて種類が少ないものの、ピークがシャープでより短い時間で分析を行える利点があります。
検出器
分析する成分によって検出器を選択する必要があります。検出器には様々な種類があり、今回は弊社で使用している4つの検出器について紹介したいと思います。
FID 水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector)
有機化合物(炭素Cを持つもの)のほとんどを検出することができます。
分析事例:有機溶剤・トリメチルアミン・低級脂肪酸
ECD 電子捕捉型検出器(Electron Capture Detector)
有機ハロゲン化合物(炭素とハロゲン原子が結合しているもの)の分析に向いています。
分析事例:PCB(ポリ塩化ビフェニル)・アルキル水銀
FPD 炎光光度検出器(Flame Photometric Detector)
リン(P)化合物・イオウ(S)・有機スズ(Sn)化合物を高感度に分析を行うことができます。
分析事例:有機リン・硫黄化合物
FTD 熱イオン化検出器(Flame Thermionic Detector)
有機窒素化合物、無機・有機リン化合物を高感度に分析を行うことができます。
分析事例:アルデヒド類・アクリルアミド・アミン類
まとめ
今回はガスクロマトグラフについて紹介しました。測定する物質によってカラムや検出器を組み合わせて分析しています。ガスクロマトグラフは作業環境測定・悪臭物質濃度測定などの分析手法に定められています。測定分析の依頼・ご不明点などございましたら弊社までご相談ください。