2023.03.16
コラム

『作業環境測定士』ってどんな資格?

有害物質や騒音振動が発生する現場で働く労働者の健康を守るため作業環境測定士という国家資格があります。労働災害を未然に防ぐ役割を担っている作業環境測定士とはどのような資格なのか解説していきます。

目次
1.作業環境測定士が測定を行わなければならない場所
2.作業環境測定士の仕事内容
2-1.デザイン・サンプリング
2-2.分析・解析
2-3.アドバイスと観察
3.作業環境測定士の種類
3-1.第1種作業環境測定士
3-2.第2種作業環境測定士
4.作業環境測定士になるには
4-1.作業環境測定士登録までの道のり
4-2.受験資格
4-3.登録申請
5.まとめ

作業環境測定士が測定を行わなければならない場所

作業環境測定の実施について労働安全衛生法施行令第21条に測定項目や作業場が定められています。その中でも作業環境測定士による測定が義務付けられている作業場があり粉じん、放射線(放射性物質の取扱作業室に限る)、特定化学物質、鉛、有機溶剤のいずれかを取り扱う作業場は作業環境測定士によるそれぞれ決められた期間と測定回数で定期的な作業環境測定が義務付けられています。

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作業環境測定士の仕事内容

デザイン・サンプリング

デザインとは測定対象作業場の作業環境の実態を明らかにするために、当該作業場の諸条件に即した測定計画を立てることをいう。

引用:【公益社団法人 日本作業環境測定協会】(2016)『作業環境測定ガイドブック0総論編』

 

デザインをもとに作業場内の有害物質を採取することをサンプリングといいます。

分析・解析

サンプリングされた試料を必要に応じて前処理をしたのち分析・解析を行います。後述する1種、2種測定士によって分析できる機器や区分が変わります。

アドバイスと観察

評価された結果により作業環境の改善が必要な作業場があります。そのような場合は改善のアドバイスと定期的な観察を行い作業場が改善されているか確認する必要があります。改善の必要がなくても作業環境が維持できているか定期的に確認します。

作業環境測定士の種類

作業環境測定士には第一種と第二種の2種類あります。この2つの違いについてお話します。

第1種作業環境測定士

デザイン・サンプリングおよび簡易測定器を用いた分析などの作業環境測定士に認められているすべての業務を行うことができます。また「鉱物性粉じん」「金属類」「有機溶剤」「特定化学物質」「放射性物質」の5区分あります。それぞれ登録された区分内の有害物質を簡易測定器のみならず、すべての分析方法による分析業務を行うことができます。

第2種作業環境測定士

デザイン・サンプリングを行うことができますが、分析については、「デジタル粉じん計による粉じんの測定」と「検知管を用いた一定の有機溶剤または特定化学物質の測定」以外は行うことができません。

上記のほかに個人サンプリング法の登録があり、登録を受けると従来法のほかに個人サンプリング法でのデザイン・サンプリングを行うことができます。

作業環境測定士になるには

作業環境測定士登録までの道のり

作業環境測定士になるためには①国家試験に合格すること②登録講習を修了することこの2点が必要になります。例外として環境計量士の資格を持っている方は免除講習を受講することで国家試験が免除されます。また医師・薬剤師の方も国家試験が免除され登録講習から受けることができます。その他にも国家試験が一部免除される資格があるので詳細は公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページにて確認してください。

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

受験資格

作業環境測定士の国家試験は誰でも受験できるわけではなく受験資格が必要となります。主な受験資格は以下の通りです。

  • 大学(短期大学を含める)、高等専門学校(専修学校、各種学校は含めない)において理系系統の正規課程を修めて卒業し、その後1年以上労働衛生の実務経験がある人
  • 大学(短期大学を含める)において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業し、その後3年以上労働衛生の実務経験がある人
  • 高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後3年以上労働衛生の実務経験がある人
  • 高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科以外の学科を修めて卒業し、その後5年以上労働衛生の実務経験がある人

 

受験するために実務経験が必要な場合があります。この他にも様々な受験資格や現在持っている資格によって免除科目あるので詳細は公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページにて確認してください。

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

登録申請

①国家試験に合格②登録講習を修了した後、作業環境測定士の登録申請をします。必要な書類を準備したら公益財団法人安全衛生技術試験協会に申請し受理されると登録証が交付されます。

まとめ

今回は作業環境測定士についてお話しました。物質ごとの管理濃度や作業環境測定が必要な作業場など詳細は日本作業環境測定協会のホームページに記載されておりますのでこちらもあわせてご確認ください。

【日本作業環境測定協会】作業環境測定の基礎知識

弊社には作業環境測定士が在籍しており測定や分析を行っております。作業環境測定のご依頼やご質問ございましたら弊社までご相談ください。

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